スポニチ再登場のお股ニキが猛虎を大分析…打線のキーマンは大山

2020年01月06日 05:00

野球

スポニチ再登場のお股ニキが猛虎を大分析…打線のキーマンは大山
阪神キーマンの大山 Photo By スポニチ
 6月に本紙に初登場した「お股ニキ(@omatacom)」が再びスポニチに登場し、阪神タイガースを大分析した。大リーグのカブスで活躍するダルビッシュがその眼力を認め、ソフトバンク・千賀ら複数のプロ野球選手ともひそかに交流するプロウト(プロの素人)。今季、05年以来のリーグ優勝を目指す矢野阪神の投打にわたるキーポイントをたっぷりと語った。
 ――レギュラーシーズン3位の阪神の戦いぶりをどう見ていたか
 阪神は守備面も含めて野手の力は低くなってしまいますが、投手力はソフトバンクと並んでトップクラスの力を持っていますよね。投手力、特に中継ぎでカバーしつつ…シーズン終盤なんかは5回、いや4回まで先発が投げれば1イニングずつ質の高いリリーバーを出せるような戦いでしたよね。あそこまでいくとストロングポイントとして際立って、他球団と差を付けられますね。

 ――他球団にはまねできない布陣がそろっていた
 ビハインドでも他球団なら勝ちパターンの投手を意識せずに出していける。2、3点差で負けていても最後まで可能性を残すような戦い方ができる。終盤に広島とかが失速する中でギリギリ1%の確率を勝ち抜いてCSに行って。一方で、ファイナルシリーズはリリーフも疲弊していた印象はあって、総合力で巨人の方が一枚上手だったかなと。

 ――シーズン中のインタビューでも注目していたジョンソンも大活躍だった
 インタビューでは打たれないと言ってしまって、少し打たれたんですけど、最後まで安定してましたよね。フロントは投手を連れてくる目利きがあるのかなと思いますよね。それでスアレスに目を付けたってことは、良いものを持ってると見ているんでしょうね。

 【野手編】

 ――投打のバランスを考えると、リーグ優勝へ来季は野手の奮起が必要に
 いろいろ議論されているんでしょうけど、大山をセカンドで使うのかとか、サードはマルテで行くのかとか。打力を上げるには、大山、マルテ、ボーアを打線の中に共存させることが大前提だと思いますね。

 ――今季、失策が12球団ワーストの102個だった
 これはチームの思想じゃないかと予想してるんですが、すごく併殺を取ることを重視していて、二遊間がベース寄りに守っている印象があります。だから併殺は多いんですけど、他のチームより一、二塁間や三遊間を抜かれてる可能性はあるので、てんびんにかける必要はありますよね。併殺を狙いすぎるとヒットゾーンは広がるので。何事もバランスは難しいですけど。守備シフトもただやれば良いっていうわけじゃないので。例えば、アストロズはシフトを使うバランスが完ぺきなんですよね。使うべき場面、打者も様々な状況を想定して敷いてます。個人の力量、守備範囲はもう個人でしっかり練習して引き上げていくしかないです。それこそ宮本慎也や井端に弟子入りして有数の名手に成長していった坂本勇人のように。

 ――投手力だけでは日本一にいけない
 それを証明しているのが西武だと思いますね。ピッチャーの責任は6割とか7割。野手に守ってもらわないとアウトにできないですし、飛んだ打球の3割ぐらいはヒットになります。加えて攻撃はほとんど野手が担います。そう考えると、野手がある程度、力を発揮しないと苦しくなりますよね。

 ――阪神は大砲の登場を待望している
 結局、ほとんどのポジションに穴がないように運用していかないといけないですよね。阪神も梅野が大きく成長して、近本もレギュラーになって、センターラインは固まってきてるんですよね。そこにボーアが入ってきましたよね。ポジションに極端な穴を開けないことが重要になると思います。

 ――大山の守備位置は
 個人的には、大山は正直、セカンドできると思います。サードできる人は守れると思います。今はデータもあって、ある程度、打球の傾向も把握できるので、大山クラスの守備力があれば、二塁はできると思っています。大山がセカンドでマルテがサードでとなると周りは阪神は投手主体のチームなのに“ファイヤーフォーメーションだ”とか言うと思いますけど、それぐらいやらないといけないと思う。その上で終盤にはきっちり守備固めの選手を出していけばいい。マルテを左翼でもいいかなと。糸井も含めて共存させないと。

 ――糸井の役割もキーになる
 超人のイメージが強いと思いますけど、意外と大砲ではなくて、出塁してお膳立てをするタイプだと思います。3割、15本塁打、出塁率4割ぐらいで。3番に置いて30本、100打点を期待するよりは、2番に置いて、ボーアら中軸が返す形になれば得点も上がっていくように感じます。

 ――ボーアをお股さんなりにアナライジングして欲しい
 太鼓判とか大げさに書かれちゃうと困るんですが…本当にバースの再来だと思うんですよね。似てるんですよ。左打者で、いったんヒッチしてから戻って、スイングするフォームがそっくりですよね。

 ――当たりの助っ人になりそうか
 阪神も重視してたのは、逆方向に長打が打てるのかというのを見ていたと思うんですよね。甲子園で本塁打を量産できる左打者は代々、浜風に乗せてレフトに打てますよね。掛布さん、金本さん、桧山さん、ブラゼル。いくらパワーがあって引っ張っても25本ぐらいが限界だと思うんですよね。金本さんも現役時代は狙ってレフトへホームラン打っていた印象なんで、ボーアにもその技術があるかだと思うんですが、ボーアにはおそらくあると思います。メジャー時代のホームラン集を見ていても、センターから左に打ち込むホームランが結構多いんですよね。抜いたボールは引っ張って、一番良い時は変化球でも粘って打てています。“金本的”にうまく乗せて打てると思う。バースの再来と期待してしまうのは分かります。

 ――15年に23発、17年にはメジャーで25発
 (15年)当時はかなり良いバッターで、マーリンズにはスタントン、オズナ、イエリッチと強打者がそろっている中で3人の次に良いバッターの位置づけだった。当時、ツイッターでもフォロワーの方々と“ボーア良いよね”という話題にもなっていました。

 ――ズバリ活躍するか
 肝心なのは今の実力なんで。3年前に良くても、どこかケガしてたり。良い時よりは落ちてると思いますが、それがどこまで落ちているか。日本もレベルはかなり上がっていますが、球速は5キロほど落ちるので、90マイルのボールをどれだけ打ち返せるか。日本はインハイのストレートを見せてフォークやスライダーを多く投げて誘ってくると思うので、いかにそこでバットが止まるか。最初にうまく爆発してくれて、波に乗ってくれれば。開幕からいきなり不振になると、ファンもフロントも我慢できなくなりそうなので。日本に来る選手としてはかなり楽しみな存在です。

 ――ボーア以外では打線で考えると糸原にも期待している
 鈴木大地のような存在になって欲しいですよね。内野どこでも守れて、大砲タイプの間に入ってつないで、リーダーシップもある。四球も選べて、引っ張っても強い打球が打てるので、打線のキーマンではありますよね。

 ――和製大砲の可能性を持つのは大山選手
 30本打てるポテンシャルはありますよね。昔の小久保さん、中村紀さんのようにブンブン振り回すようにどんどん引っ張っていけば良い。開くな、とかチームバッティングを、とかはその後でいいと思いますね。

 ――新人王の近本選手に2年目のジンクスはあるか
 想像以上にすごい選手でした。打撃はもう少し良くなるだろうし、近鉄にいた大村選手のようになるのかなと。センターを守って、積極的に振っていってという。今年、DeNAの山崎から左翼のポール際に打っているのを見て、こんなに飛ばせるんだと驚きましたね。横浜スタジアムはああいうレフトへフラフラっと上がって入ってしまう打球が多いですよね。阪神の選手はああいう打ち方を練習するのも1つ引き出しとして持っておいて良いのかもしれません。ホームランは距離じゃないので。130メートルでも98メートルでも入ればね。

 ――大山のポジションが重要になる
 3人(ボーア、マルテ、大山)を共存させるのは間違いなく大山がカギになります。セカンドもやるし、レフトもやるし、サードもやるという気持ちでいって欲しいです。巨人の岡本的なユーティリティーで。サード一本という気持ちも持っておかないといけないとは思いますが、大山の守備力を考えれば複数ポジションを担えます。

 【投手編】

 ――スラッターも投げる高橋遥がローテを守った
 投げているボールと言う意味では、持っているものを100%出せている投手ですよね。1年目からフォームも球筋もすごく良くて。ただ、ゴロ投手なんで、守備の乱れがあると数字が伸びない投手ではありますよね。今年も防御率も2点台ぐらいかなと思っていたら3点台後半で。球種的には速い変化球だけでは、そのタイミングで待っていれば、キレが悪くなった時、変化が悪い、コースが悪いとプロには捉えられるので。今永もスラッター、カット、チェンジアップで速いボールが多すぎるからちょっと遅いスラーブっぽいスライダーを入れてましたね。ダルビッシュもカットばっかりになっていた時期あったし、千賀も今年カットが良くて速いボール投げすぎたから遅めのスラーブ入れていこうとか。

 ――本人も自覚していて秋季キャンプではカーブ習得を目指した
 高橋は相手から見ると、低めに目を付けて、カット、チェンジアップを打つか、逆方向に打つか、とかイメージを持たれている。相手の予想を外すには、あえて低めのストレート使ったり、カット、ツーシームと同じ軌道で緩急のあるカーブ、チェンジアップが欲しいですよね。僕が言うまでも無く本人が取り組んでると思いますが、相当良いものは持っていますよね。投げてるボール、良い時のハイライト見てると、数字が伴っていない感じはしますけど、12勝、防御率2点台の力は持っています。

 ――岩崎投手がリリーフの柱にまで定着した
 ストレートの質がめちゃくちゃ良いんですよね。純粋なバックスピンでジャイロ成分がほぼゼロなんだろうなと。終速はむしろ遅いと思うんですよね。思ってるほど落ちてこないから(ボールの)下を振ってしまうという。あれがまさに“キレ”と呼ばれるものでしょうね。プレミアでは阪神勢は選出ゼロでしたが、五輪でも期待できる投手ですよね。イメージですけど、練習でも自分のことをやって、さっと引き揚げていくような。味方にも手の内を明かさないようなタイプに見えます。

 ――先発、中継ぎ経験があるが将来像は
 リリーフのままでいいと思いますね。例えば6回、7回で走者がいて丸(巨人)がいるところで絶対に抑えたいというところで適役じゃないかと。イニングもまたげるし、1イニングなら3者連続三振で終わってしまうような。とにかく計算が立つ投手ですよね。

 ――セットアッパー、クローザーの資質もあるか
 今年の状態なら絶対にできると思いますね。適性もある。複数イニングを投げている今よりも体の負担も減るでしょうし、将来的に守護神・岩崎はアリですよね。

 ――スアレスも獲得した
 タイプ的にはドリスですかね。スラッター、スプリットを投げて。先発の経験もあるので、オープナー的な試合を作って、2番手で複数イニングを投げてもらうのも適任だと思います。

 ――中田賢一も先発として期待される
 良い補強ですね。現代型ではなく旧代型の投球スタイルなんですけど、ソフトバンクの和田毅的なスポット起用でローテーションの谷間を埋めてくれる存在かと。スアレスとセットでも良い。日本の野球は入れ替えが多いので、1年間6人でローテーション回すのは無理なので。10人以上をうまく使いながらという意味では岩田も含めて中田の力も絶対に必要ですよね。

 ◆お股ニキ(おまた・にき)生年月日、出身地は非公表。「ニキ」はネット用語で「兄貴」の意味。本格的な野球経験は中学の部活動までながら、独特の視点で選手や球団を分析する「つぶやき」が人気を呼び、ツイッターのフォロワーは2万人超え。ダルビッシュら現役選手から助言を求められることもあり、連絡を取り合っている選手は多い。ツイッター上でダルビッシュに伝授した「お股ツーシーム」が大きな話題を呼んだ。サッカー観戦も趣味でレアル・マドリードの大ファン。11月には2作目の著書「なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか」(宝島社新書)を発売。

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