【タテジマへの道】木浪聖也編<下>“ミスター社会人”の教えが礎に
2020年04月24日 15:00
野球
父・弘二さんも「共働きということもあって、私が知らないところで祖母にいろんなところに連れて行ってもらっていた。聖也を語るのに祖母のこと抜きでは語れない」と強い絆を感じていた。
大学3年秋のリーグ戦の真っ最中に悲しい別れが訪れた後も頭の片隅には祖母の存在があり、苦しい時も自らを奮い立たせてくれている。「天国で自分のプレーを見て応援してね」と伝えたい。プロでの活躍もきっと見てくれているだろう。聖也が急激に成長を遂げたのは社会人の強豪であるHondaに入社してからだった。日本代表で4番も打ち「ミスター社会人」と呼ばれた西郷泰之ヘッドコーチ(46)との出会いが、自身のウイークポイントだった打撃面を大きく変化させた。
「西郷コーチには、とにかく思い切り振ること、当てにいかないことを言われました」
安定した守備力を買われて社会人でプレーすることになったが、打撃力が劣っているのは明らかだった。高校、大学時代の本塁打はゼロ。亜大では1年春からリーグ戦に出場。4年秋は遊撃と二塁を守り規定打席未到達ながら打率・364をマークも通算40試合で110打数26安打の打率・236と低調な数字に終わっていた。
「どうしても当てにいく打撃をしてしまっていた」と振り返る聖也に対し、西郷コーチは下半身を主導とした打撃スタイルに変更すべく指導した。「バットにボールを当てる技術とかヘッドの使い方はうまい。ただ、(走力があるゆえに)どうしても当てにいってしまうミート中心だった。社会人でやるには、もっと振れる力というのが必要。その土台をつくっていこうと下半身を使ってしっかり振るという打撃練習を行った」。膝をしっかりと曲げ体勢を低くしたままティー打撃を敢行。加えてロングティーや連続ティーといったティー打撃特訓で連日、バットを振りに振った。
成果はすぐに表れた。1年目の都市対抗予選・新日鉄住金かずさマジック戦で右越えに勝ち越し本塁打を放つと本大会でも初戦・JR四国戦で先制3ランを放つなど今までになかった長打力を見せつけた。社会人2年間で練習試合を含め放った本塁打は13本を数えたという。
走守に「打」にも磨きをかけた2年間。「ミスター社会人」の教えはプロでも通用するもの。自信を持って新たな勝負の世界に身を置く。
(18年11月24、25日付掲載、おわり)
◆木浪 聖也(きなみ・せいや)1994年(平6)6月15日生まれ、青森県出身の24歳。小1で野球を始める。青森山田では1年時からベンチ入りも甲子園出場なし。亜大では1年春からリーグ戦出場。Hondaでは1年目から三塁手兼二塁手のレギュラーで2年目から本職の遊撃手。1メートル78、80キロ。右投げ左打ち。
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