カメラを止めるな!巨人「ブラコミ」部、全て自前で“選手の今”撮影、編集し動画配信
2020年05月15日 06:30
野球
6分21秒の動画には球団の戦略が凝縮されている。メディアが取材を自粛する個人調整期間中の4月11日、公式YouTubeチャンネルに公開。組織改革の一環で昨年12月に新設した「ブラコミ」が、撮影、編集全てを自前で行った。担当者は昨年7月にテレビ番組制作会社「日テレ アックスオン」から球団に出向した柳館俊部員(30)で、元テレビマンのノウハウを生かしている。
「面白いことは撮り逃したくない。粘り強く長く回します」とカメラを止めない。約3時間の練習でほぼフルタイム、場所を変えながら撮影。菅野の球速当ても、その場の成り行きで始まった。台本はない。偶然の産物を撮り逃さなかった。編集は、駆け出しのテレビマン時代に教わった「1分の映像を1時間で」という信条を実践。撮影と編集で10時間近くかけ完成させた。
同様の動画は日々、1日1本のペースで公開を続ける。ファンに「視聴習慣」をつけてもらうという狙いがあるからだ。さらに、公開時間も午後7時から10時台に設定。「テレビで言うゴールデンタイム。皆さんに見てもらえる時間を心掛けています」と、徹底している。
「コロナ禍」でテレビ局のカメラが球場に入れない今、視聴できるのは同部が発信する映像に限られる。巣ごもり生活の中でニーズは高まりを見せ、1月に7万人台だったチャンネル登録者数は現在20万人近くに跳ね上がった。統括する草間浩人事業本部長兼ブランドコミュニケーション部長(55)の「ターゲット層、男女の比率、平均年齢などデータを集め、頻繁にミーティングをした」という戦略が、今こそ存分に発揮されている。
プロ野球は、6月中の開幕を目指すことで12球団が一致。当面は無観客で開催され、選手と直接触れ合うファンサービスは稼働できない。同部は、開幕後も重要な役割を担うことになる。
今後の構想は――。試合開催日に球団職員しか入ることのできないベンチ裏などを撮影し、真剣勝負に挑む選手の舞台裏を伝える「毎試合のドキュメンタリー」。他競技のアスリートやスポーツ以外の分野の著名人とのコラボで、野球に興味の薄い新たなファン層の取り込みなどを狙う。
柳館氏は「僕らが撮ったものしか今のジャイアンツは映像が残らない。さらに責任感を感じています」と言う。スポーツが消えた日常と対峙(たいじ)する取り組みが、コロナ終息後の可能性を広げていく。
≪今村社長の組織改革の一環で誕生≫昨年就任した今村司社長(60)の組織改革の一環として、昨年12月に部員13人で新設されたブランドコミュニケーション部。事業本部下で「SNSなどデジタルメディアでの発信、PR」や「版権管理」を担当する。
球団は16年3月にYouTubeチャンネルを開設し、広報部員が掛け持ちで運営してきた。さらなる強化に努めるため、草間本部長は「新しい独立した組織をつくり、特化した形がいいのではないか」と新設の経緯を説明した。
開幕が延期され、1試合に100個を超えるサインボールのスタンド投げ入れやヒーローインタビューなど、球場で選手と直接接するファンサービスは消えた。その中で、何をできるかが勝負。草間本部長は「少なくとも映像を通じて、元気な姿を見てもらいたいと思っています」と取り組んでいる。
◆担当記者おすすめ動画 ※( )内は公開日
★契約の瞬間(3月31日)育成から支配下登録されたディプランの契約舞台裏に潜入。球団関係者しか入ることのできない小部屋で、原監督と大塚淳弘球団副代表編成担当が、契約内容を説明する場面まで配信。
★外野もいける?(4月10日)外野ノックに挑戦する坂本が打球を追いかける姿を、亀井が至近距離で走りながら撮影。臨場感にあふれ、2人のコミカルな掛け合いも見られる。
★いじりマイク(4月23日)個人調整を視察した元木ヘッドコーチが、どぎつい「いじりアナウンス」。マイクで、坂本に「(年俸)40億が歩いてきました」、大城に「盗塁0。一応チャレンジしてみましたが100%でアウト」などといじり倒す。
★消毒も万全(5月8日)報道陣立ち入り不可のトレーニングルームで丸が肉体を鍛え上げる。菅野から「この期間で初めて見た」と突っ込まれるなど、素の会話が収録されている。使用後は消毒液を「シュッシュッ」と噴きかける姿も。
★応援団ひとり(5月10日)阿部2軍監督の「一人応援団」が一塁側スタンドに。久々のフリー打撃で逆風に苦しむ中、現役時代の登場曲が熱唱された。声の主は育成外野手・笠井。さらに右翼から「ここまで!もってこい!慎之助!」とコールを飛ばし…。
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