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逆転勝利に導いた「1億円の足」 投手を釘付けにした日本ハム・五十幡の“けん制”とは

2024年07月17日 08:00

野球

逆転勝利に導いた「1億円の足」 投手を釘付けにした日本ハム・五十幡の“けん制”とは
日本ハム・五十幡 Photo By スポニチ
 「けん制」を辞書で調べると、こう書かれている。「相手の注意を自分の方に引きつけて、自由に行動できないようにすること。作戦上、敵を自分の望む方に引き留めたり引きつけたりすること――」。野球では走者の進塁を防ぐための「けん制球」など、野手側の作戦で使用される言葉だが、その試合で「けん制」をしたのは“走者側”だった。
 今月13日の日本ハム―ソフトバンク戦(エスコン)。1点を追う8回1死から死球で出塁した郡司に代わり、代走・五十幡がアナウンスされると球場の空気が一変した。13日時点でリーグ4位の14盗塁だが、最近は足で試合展開を変えることが多く、新庄監督からも「1億円の足」と評されていた。盗塁を期待するファンのざわつきが、場内の雰囲気をつくっていた。

 その空気を感じ取ったかのように、マウンドの津森も冷静ではなかったように見えた。それは五十幡自身も感じていた。「もちろんスタートする準備はできていたが“ここは違うな”と思った」。あえてスタートは切らない。自らに注意を引き寄せる「けん制」をし、津森も続くレイエスに1球もストライクを奪えず四球。チャンスを拡大し、この回の逆転劇につなげた。

 中学時代に今や日本陸上短距離界のエース・サニブラウンとしのぎを削り、中3の全国大会で100メートルと200メートルの2冠。「サニブラウンに勝った男」の異名を手に入団したが、昨年のオープン戦では重圧のあまり、帰塁することができなくなった時期もあった。「その時は“アウトになったらどうしよう”という恐怖心が強くあった」。今は「割り切りも大事」と、克服して“イップス”を乗り越えた。

 「走るだけが仕事ではない。その中で勝負できればと思っている。駆け引きを大事にしていきたい」。五十幡には試合の流れを一気に変える“武器”がある。今や他球団のバッテリーも警戒を強める「1億円の足」が、上位浮上の切り札となる。(記者コラム・清藤 駿太)

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