混沌とするミドル級――村田が“主役”となるために必要なこと
2018年10月20日 11:30
格闘技
空位のWBO王座はデメトリアス・アンドラーデ(米国)とウォルター・カウトンドクワ(ナミビア)が、IBF王座はセルゲイ・デレビャンチェンコ(ウクライナ)とダニエル・ジェイコブス(米国)が、それぞれ王座決定戦を戦う。だが、誰が新王者となってもカネロやゴロフキンをしのぐような存在にはなりえず、もしカネロが王座を返上する事態になれば、WBA正規王者の村田、WBC暫定王者ジャモール・チャーロ(米国)も含め、ミドル級は「戦国時代」へと突入する。
実は、村田がラスベガスで初めてメーンイベンターを務める20日(日本時間21日)のロブ・ブラント(米国)戦は、米国での注目度が高かったわけではない。米メディアではむしろ、同日のWBO王座決定戦の話題が取り上げられることが多かった。だが、村田―ブラント戦の公式会見に出席したボブ・アラム・プロモーターはWBO決定戦について「(会見場の)外にいる何人がその試合を知っていると思う?0%だ」と断言。自身がプロモートする村田を絶賛するのは当たり前として、興行上のライバルカードにも“主役”はいないことを強調した。
だからこそ、ゴロフキンとのビッグマッチが計画される村田には、混沌の中から抜け出すチャンスが広がっている。ブラント相手の2度目の防衛戦は日本国内ではDAZN、米国ではスポーツ専門局ESPN+が生中継と、現在のボクシング放送における“二大巨頭”がついており、対戦相手にとって村田はビジネス的にも魅力ある選手。過去KO負けがない指名挑戦者に対し、米国でも注目を浴びるような勝ち方をするようならば、来年3、4月のゴロフキン戦実現へ向けて交渉が始まることは確実だ。アラム氏の「米国で試合をすることで、ムラタはスーパースターになろうとしている」との言葉は、かなりの割合で核心を突いている。(専門委員・中出 健太郎)