谷口11回TKOで初防衛 体重超過の挑戦者とメリットなき“当日計量マッチ”「一番収まりいいところ」
2022年04月23日 05:30
格闘技
スピードとテクニックで完勝した。初回の石沢の動きを見て体調は問題ないと判断。マタドールのように軽快なステップとボディーワークで攻撃をかわしながら、ボディー、アッパーとパンチを突き刺した。最後は強烈な左を打ち込んでレフェリーストップ。「最後まで(勝てるという)余裕はなかった。それだけ集中していた」。判定勝ちしながらも唯一のダウンを喫した19年9月の試合を忘れず、逆に世界王者としての進化を見せつけた。
石沢が前日計量の1回目で2・5キロオーバー。国内ルールなら再計量もなく試合中止となるケースで、再計量でも200グラムしか落ちていない状況に、一時は「やりたくない」と拒否した。それでも試合成立の条件が整い、食事を終えると「明日頑張ればいいか」と気持ちを切り替えた。2カ月前から減量を開始し、菓子や間食をやめる一方で、体に効果的な食材として毎食200グラムの白米を摂取。リミットまで落としても完璧なコンディションに不安はなかった。
試合後、リング上で「すみませんでした」と謝罪した石沢に「もう謝らなくていい」と返した。実直な性格は把握しており、「限界までやって、何かアクシデントがあったと分かった」と気遣った。「反省していると思うし、これからの彼を見守ってほしい。失敗から学ぶことがある」。3度の黒星を経て世界をつかんだ谷口らしいコメントだった。
◆谷口 将隆(たにぐち・まさたか)1994年(平6)1月19日生まれ、神戸市出身の28歳。中1でボクシングを始める。神戸第一高―龍谷大。16年4月プロデビュー。18年11月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座獲得。19年2月、WBO同級王座挑戦失敗。20年12月、日本同級王座獲得(防衛1)。21年12月、メンデス(プエルトリコ)に11回TKO勝ちでWBO同級王座獲得。1メートル62の左ボクサーファイター。