【天心一問一答(2)】丸刈りは「日本人の決意」 「帝拳ジムは伝統があってカッコいい」
2023年02月13日 20:36
格闘技
――相手を聞いてどう思った?
「二つ返事で“やります”と。僕の思いを(帝拳ジムの本田明彦)会長がくみ取ってくれたと思うので、世間の人に本気度が伝わるんじゃないかと。最初は海外の選手とやるみたいに言われたけど」
――日本ランカーとの対戦。
「ランキングに入ったからどうってことは(ない)。世間に見てもらって、そういう人に向けても真剣な姿を見せれればと」
――インパクトのある結果にこだわる?
「そこはもう、やるべきことは分かっているのでやるしかないですね。新人ですから」
――丸刈りは今まであった?
「ないですね。気合ですよ。新人ですから」
――新人として臨む決意の表れ?
「友達に“日本人は決意を表すときはおでこを見せるんだ”と言われて。いいなそれ!と思って」
――6回戦デビューは海外選手とやることが多い。強いと思われている?
「だからこそ世間に対しても気合ですね、覚悟を見せていきたい。それだけですね。一番分かりやすいと思う。海外選手に勝っても、日本人とやってないじゃないかと(言われる)。だったら一発やってやるよと」
――キックではエンターテイメント性を感じていた。ボクシング界でもやっていく?
「こんなことしてやる、っていうのはないけど、生きざまだったりスタイルで感じてほしいと思いますね。最近、エンターテインメントが増えすぎているんじゃないかなと思う。こういうスタイルでやっていくのは大事かなって。時代の逆をいくって意味もあって」
――YouTubeをやめたのもそういうこと?
「そういうのもありますね。(登録者数)100万人を目指してましたし、けじめとして。今は必要ないかなと。他の人がやればいいかなと。時代の逆行った方がかっこいいかなと」
――キックボクサーとボクサーの違い。
「ボクシングの人はボクシングしか知らない人が多いという印象です。それがあるから今のボクシング界が保たれてきたと思いますし、そこを良い形ではみ出す人がもっと増えればもっと良くなるんじゃないかなと思っています」
――ボクシング界に足りないものが見えている?
「それのきっかけに僕がなれればと思っています。こういうこともありなんだな、と。見ている人に気づいてもらいたいなという気持ちはありますね」
――刺激を与える余地が自分にはある?
「だからこそ凄いワクワクしています。上から目線ではないですけど、会見で凄い気合入ってる人いたし、僕をうまく利用する人がどんどん増えてくればいいなと思います」
――どうはみ出していきたい?
「もうはみ出てるんで(笑い)、これ以上出る必要ないと思いますし、ボクシング界だけじゃなく対世間を常に意識していたので。形は変わるけど、そこに対する思いは変わってないですね」
――配信とテレビについて。
「テレビでやらないんじゃなくて、やれなくなった、だと思う。そういう状況はピンチじゃないかなと思う。それを取り戻すというか。格闘技って普通を求められたら終わりだと思っているけど、それまでにちゃんと自信を持って胸を張れるような選手になりたいなと思います」
――若者に対して自分のどこが魅力にうつっていると思う?
「やっぱマインドじゃないですかね。ネガティブなことを絶対言わないし、考えすらしたことないので。自分は自分ですから。今起きたことがリアルですし、周りを気にして生きづらいところはあるけど、そんなことないっていうのを導いてあげないと。学校で教えられたこと、先生に言われたことが全てだと思うけど、そうではないんだよと。もっと活躍できる場所を探すきっかけに僕がなれればと。今後日本を動かすのって今の10代、20代。そういう人たちを変えていかないと。50代、60代より上の人は考えが固い人が多い。“若いやつらはー!”とか言うけど、僕らからしたら“おっさんたちは…”って思うし」
――ポジティブなのはいつから?
「もともとっすね。母ちゃんがすごいポジティブで。僕らには“法を犯さなければ何でもやれ”みたいなスタイルなので。いまだに中学の友達に会うと“おまえ何も変わってないね”って言われるけど、それって褒め言葉だと僕は思ってて。全部褒め言葉だと思っちゃうんですよね」
――ボクシング界への果たし状。相手は強いけどプレッシャーより楽しみ?
「プレッシャーはないですよ。もうやるだけなので。勝とうが負けようが僕の人生ですから。起きたことが全て。それまでに勝負に向き合うことが大事。一番の身内のジムが信頼してるから送り出してくれたんだと思う。不安があって送り出すことはできないと思う。そこに応えるだけじゃなくそれ以上を。サプライズ好きなので良い意味でサプライズしたい」
――父からは完全に離れる?
「いや、完璧に離れることはない。今も週1回ジムに来て、キックの技術プラス昔を忘れないようにって。僕はキックボクサーだったけど、まるっきりキックの動きではなかった。それは父親の教えもあるし、いろんな発想。そこを大切にしている」
――デビュー戦で楽しみにしていること。
「雰囲気ですよね、空間。こういうよそものが入ってきた時って客観的に見て一番楽しいじゃないですか。ウワッ、変なヤツいるよみたいな。道歩いてても変なヤツいたら、ウワッてなるけど、それを良くするか悪くするかは、その変なヤツ次第。ただの変なヤツにならないように。良い変なヤツになれるように(笑い)。時代を変える人たちって、ちょっと飛び抜けた考えを持ってたり、行動するヤツじゃないと変えられないと思うので、それを良い方向に変えたいと思うだけです。そこは信頼してもらって大丈夫です」
――キックの時はバラエティーに出るとかいろんな活動も。今後は?
「スタンスは変えていこうと思います。知ってもらうフェーズとそれを伝えるフェーズがあると思ってて、キック界では認知してもらうことを意識してテレビにたくさん出たり、YouTubeやったりしてた。THE MATCHで、見てない人にも知ってもらえた。それをより深く知ってもらうために、今はそこまでしないのがいいのかなと思ってます。スポットで友達に呼ばれたり、例えば粗品が出てくれとか言うなら考えはしますけど。出てプラスになるもの、特別感のあるものに出ていきたい。それを自分でしっかり見極めて出ていきたい」
――こういう一連の報道は自分にプレッシャーをかける意味もある?
「自分で判断してますね。誰かに言われてじゃなく、カッコいいかカッコ悪いかで全部判断します」
――試合まではスパー中心で仕上げる?
「ずっとスパーやってますので。キック時代よりスパーしてるんじゃないかってぐらいやってます」
――試合に向けての仕上げ方はキックの時のどこが違う?
「実戦ですね。それをやってるところが一番の違いかな」
――スパーを増やすのはどういう狙い?
「安心感がありますね。基礎の練習ももちろんやってるけど、スパーリングじゃないと分からないことがある。戦わないと分からないことがあるので、そこを今やってます」
――キックをやっていたことで、ボクシングだけの人にないメリットは?
「発想力だと思います。僕は他の人よりもいろいろ発想力は豊かだと思うので、そこは自分の中で有利になるのかなと。ボクシングだと来ない間合いでやったり、そういうスタイルは良い方向に使っていきたいなと思います」
――今のボクシング界のトレンドや伝統とは違うことをやりたい?
「そこは変えるとか思ってないけど、自分の体でステップとか普通のボクサーと違うところはあると思うので、そこはやっていきたいと思います。ただ、それがどうなるかは自分の中でも分からないけど、存在で証明したいと思っています」
――今、ボクシング界を変えている人は井上尚弥。それを会見であえて語らなかったのは、新人としての気持ちから?
「今の立場は新人なので、そこはまだ言えないかなってかんじです」
――新しい舞台へのスタート。帝拳を選んだ経緯は?
「伝統がちゃんとあってカッコいいなと。そこですね。ボクシングジムで一番イケてるな、みたいな」
――会長は1年以内(の日本王座挑戦)と言っていたけど、今年中に狙う?
「そこは仕上がりを見て。毎日毎日強くなるっていう自信はあるので、その段階を追って、自分が強くなったらこれぐらいの相手だなとなってくるので。後ろに下がることは絶対ないので、前に進むだけなので。そこは毎日のトレーニングを見て決めていきたいって感じです」
――イケイケなのはポジティブな母の影響?
「イケイケは父親なので、止めるのが母親なので(笑い)」