重岡銀次朗 9回TKOで初の世界王座奪取 初ダウン奪われるも逆転「苦戦してしまって、すいません」

2023年04月16日 19:36

格闘技

重岡銀次朗 9回TKOで初の世界王座奪取 初ダウン奪われるも逆転「苦戦してしまって、すいません」
7回、相手のダウンを奪った重岡銀次朗(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【プロボクシングIBF暫定王座決定戦12回戦   〇同級4位・重岡銀次朗―同級3位レネ・マーク・クアルト● ( 2023年4月16日    東京・代々木第2体育館 )】 プロボクシングIBF暫定王座決定戦で同級4位の重岡銀次朗(23=ワタナベ)が同級3位レネ・マーク・クアルト(26=フィリピン)に9回TKO勝ちで初の世界王座を奪取した。史上初同階級での兄弟同日世界王座獲得へ、2試合後のメインを張る兄・優大へ最高の形でバトンをつないだ。
 第1ラウンドでボディーにパンチを打ち込む銀次朗だが、クアルトの左フックからの右ストレートが直撃して、まさかの初ダウン。第2ラウンドでは偶然のバッティングもあったが、お互い譲らず打ち合った。

 いきなりダウンを奪われたものの、第3ラウンド以降はジャブとボディーでペースを握った。第6ラウンドで左フックが直撃し、ダウンを奪った。だが、直前にクアルトがスリップしていたため、ダウンとは認められなかった。

 第7ラウンドも執拗にボディーを攻めた銀次朗。そして、残り1分を切ったところで、左ボディーにクアルトが片膝をついて正真正銘のダウンを奪って完全に主導権を握った。

 第9ラウンドで再び左ボディーで2度目のダウンを奪うと、その約40秒後にも強烈ボディーが炸裂して3度目のダウンを奪った。何とか立ち上がったクアルトだが、ファイティングポーズが取れなかった。銀次朗は9回2分55秒でTKO勝ちとなった。

 試合後、リング上で行われたインタビューでは「「チャンピオンになりました!イェイ」と喜んだ。それでも「楽に倒して、カッコイイ姿見せるつもりだったんですけど、初めてダウンして、すごい貴重な試合でした。結構、苦戦してしまって、すいません」と反省の言葉を並べた。さらに「今日は熊本地震があった日でもあって、凄いプレッシャーもあって。みなさんにどうしても笑顔を届けたかった。熊本で僕は小さい頃から、この世界のベルトだけを夢を持って兄貴と2人で頑張ってきた。もうめちゃくちゃうれしい」と語った。

 悪夢の世界初挑戦からこの日で100日。1月6日、試合途中に相手王者のダニエル・バラダレス(メキシコ)がバッティングによる試合続行不可能を訴えたことで初の世界戦は無念の無効試合となった。映像を振り返り「めっちゃかわいそうやん俺…」と落胆する日もあった。それでもあの一戦を経験したことで気持ちに余裕が生まれた。

 この日で熊本地震の本震発生から7年が経過。熊本・開新高に通っていた銀次朗は市内の自宅で家族で被災。断水し、電気も止まり約1週間、車中での生活を余儀なくされた。「(被災者は)震災を思い出して、どうしても暗い日になってしまう。熊本から世界チャンピオンが生まれた、というニュースを聞いて、少しでも明るい日になればいい」。故郷にこれ以上ない恩返しを果たした。

 疑惑の判定、対戦相手の“ドタキャン”と、予期せぬトラブルに苦しめられてきた重岡兄弟。「強いやつが勝つ世界にしたい。偽物の王者を蹴散らして、自分たちでミニマム級を価値あるものにしたい」と、口にしてきた銀次朗が自ら“最強”を証明した。

おすすめテーマ

2023年04月16日のニュース

特集

格闘技のランキング

【楽天】オススメアイテム