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スズキ200万台リコール ブレーキでも検査不正 発覚後も、特損8百億円

2019年04月13日 15:36

クルマ

 スズキは12日、車の検査で制動力が不十分なブレーキでも合格とするなどの不正があったとして、約200万台のリコール(無料の回収・修理)を実施すると発表した。費用800億円を2019年3月期連結決算で特別損失として計上する。不正は1981年6月ごろから昨年8月の発覚をはさみ今年1月ごろまで続いたとみられる。

 燃費や排ガス測定の抜き取り検査では08年4月から18年9月にかけ、対象の約半数に当たる計1万1070台でデータ改ざんなどが見つかった。16年にも燃費データの測定不正が発覚しており、不正を繰り返す企業風土の深刻さが浮き彫りになった。日産自動車やSUBARU(スバル)に続く検査不正で自動車業界の信頼が揺らいでいる。

 スズキの鈴木俊宏社長は12日、国土交通省に不正の調査結果をまとめた報告書を提出し、謝罪した。その後、東京都内で記者会見し不正について「危機感を持って厳粛に受け止める」と述べた。ただ「状況の立て直しが私の役割だ」とも話し、辞任を否定した。鈴木修会長は「会社が急成長し、人材育成が追い付かなかったと反省している」とのコメントを出した。

 リコール対象は主力の軽自動車「スペーシア」や、相手先ブランドによる生産(OEM)も含め計40車種。1週間後をめどに届け出る予定だ。スズキは、検査上の問題があったブレーキに関する具体的な資料や記録は乏しいとしている。

 不正があったのは、いずれも静岡県内にある湖西、相良、磐田の3工場。報告書によると、ブレーキのほか速度計でも必要な検査項目が省略された。無資格の従業員が検査員の印鑑を使用していた。自社調査に対し、現場が事実を隠蔽した事例もあった。

 報告書は不正の背景として、検査員の人員不足や設備の老朽化、経営陣の検査業務に対する理解不足を指摘した。対策として今後2年間で検査員数を倍増させ、品質向上のため5年間で1700億円規模を投資する。

 検査不正は昨年8月に6401台で発覚した。国交省の立ち入り検査を受け9月に不正件数が8577台に拡大し、国交省が調査の徹底や再発防止策の策定を指示していた。今回の不正は、スズキが外部の弁護士に依頼した調査で判明した。

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