【競輪卒業記念】父は近鉄で4度盗塁王 大石JrVへかっ飛ばす
2016年03月23日 05:30
競輪
仰木監督に率いられ、ブライアント、新井、村上、阿波野、小野らと最強近鉄を築き、俊足巧打の名手として活躍した父に憧れた。小2から野球一筋。報徳学園では10年夏の甲子園に出場(準決勝敗退)。NPBを目指しプロ野球独立リーグ、四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに2年間(12、13年)在籍した。50メートル5秒8の俊足を生かすため右打ちからスイッチヒッターにも挑戦したが「このまま野球を続けても上では通用しない」。月給20万円の厳しい生活。NPB入りを諦め、野球人生に区切りをつけた。
「競輪選手を目指したらどうだ?」。高校時代(静岡商)に競輪選手を目指したことがある父の言葉に心が揺れた。奈良競輪場で一緒にレース観戦。「A級かS級か覚えてないが凄いまくりを決めた選手がとても格好良かった」。輪界挑戦を決意した。
新天地で負けられない理由がある。自転車を降りれば1児のパパ。家では妻・綾恵さん(あやめ、21)、愛娘の聖莉杏ちゃん(せりあ、2)が待っている。家族と離れた1年間の学校生活は「子供の成長過程が見られずつらかった」。それでも自分で選んだ道に後悔はない。自慢のダッシュ力で在校成績は3位。「性格的に人と競うことが好き。同期に負けたくない」と表情を引き締めた。
自身の夢を次男に託した父・大二郎氏は「崇晴は負けん気が強い性格。勝負の世界ではいいと思う。競輪では自分のスタイルを確立してほしい。子供が競輪選手になるのは楽しさ半分、どんな選手になるのか怖さ半分だよ(笑い)」とエールを送った。父のため、家族のため、そして自分のため――。バットをハンドルに持ち替えた23歳が新たな世界で頂点を目指す。
◆大石 崇晴(おおいし・たかはる)1992年(平4)10月2日、大阪府生まれの23歳。報徳学園で10年夏の甲子園ベスト4。城西大中退。12年四国アイランドリーグplus高知ファイティングドッグス入団も13年シーズン終了後退団。1メートル70、69キロ。血液型A。