【天皇賞・春】ゴールドアクター前走時と一変!緩さ消え厚み増した
2016年04月28日 05:30
競馬
吉田隼はゴールドアクターをひそかに「先生」と呼んでいる。昨年の有馬記念で念願のG1を獲らせてくれた尊敬すべき相棒。馬耕が盛んな昭和の時代、農家では出稼ぎの父親に代わって働き手になった馬を「お父さん」と呼んでいたが、吉田隼にとっては競馬を教えてくれた「先生」。敬称で呼ばれるパートナーが“白い稲妻”以来の快挙に近づいた。
Wコースでの最終追い切り。トーセンアーネスト(4歳1000万)の1馬身後方から雄大なストライドを伸ばしていく。後肢が緩いせいでハミにぶら下がるように走っていた日経賞時とは一変。ハミに頼らず首を使って加速した。4コーナーで内を突くと、ラスト1Fはピタリと鼻面を並べて併走。闘志を内にため込みながら、主戦騎手の手綱に折り合った。そのまま2コーナーすぎまでペースを落とさず、ステイヤーらしい伸びやかな馬体を躍動させた。
「全く力みがない。いいね!」と、併走馬の鞍上から気配をうかがった篠島助手。その傍らでは吉田隼が手綱を通して伝わってくる確かな感触を口にした。「トモの緩さがなくなって厚みを増した。堂々と歩いて風格が出てきたし、乗った感じでもどっしりしていて安心できる」。さらに、「日経賞は休み明けで緩さが残っていたのに差し切ってくれた。凄い馬だなと改めて感じた」と続けた。
中川師も5歳春の成長を強調する。「体高が伸びて胴長の馬体が少し詰まって見えるよね。その分、速い上がり(瞬発力)が使えるようになった。この馬のことは彼(吉田隼)が一番分かっているし、自分のレースをすれば結果はついてくる」
託された吉田隼にとっては春の天皇賞初騎乗。先週、同レース4勝を挙げた岡部幸雄元騎手にコース攻略の奥義を尋ねた。「3、4コーナーの下りで外へ振られるな。とにかく我慢だ。コントロールの利くあの馬ならできるはずだ」(岡部氏)。条件戦から6連勝で春の盾獲りが実現すれば、88年の“白い稲妻”タマモクロス以来。主戦騎手は「高速馬場にも対応できるし、タマモクロスみたいになってほしい」と締めくくった。「先生」なら再現できると吉田隼は信じている。