【東西ドキュメント・美浦=22日】少し前のことだが、3日に新潟で行われた長岡Sはドラマチックなレースだった。勝ったクラウンロゼ(牝6=天間)は、これを最後に引退、繁殖入りが決まっていた。そのラストランで、実に3年6カ月ぶりの勝利。ロゼを出迎えた谷中助手は「長かった。勝つことが、こんなに大変だったなんて」と男泣き。とても感動的なシーンだった。
仕事を終えてスタンドでくつろぐ谷中助手を発見した村松。有終Vのお祝いを伝えると「燃え尽きた。真っ白に」と「あしたのジョー」の名ゼリフ。ロゼが牧場へと旅立つ日、なかなか馬房から離れようとしなかったことなど、たくさんの思い出話を聞かせてくれた。改めて、馬の数だけドラマがある。「諦めずに信じて、好きになって、愛していれば、いつか馬は返してくれる。それをロゼは教えてくれた」。そう話す谷中助手の目は、また潤んでいるように見えた。