【東京ジャンプS】林、満足の引退 初JRA障害2千回騎乗
2018年06月24日 05:30
競馬
心ないヤジが飛んだあの日から20年。林の脳裏に浮かんだのは当時の記憶だったか。しかし、暗い地下馬道を抜けた先に待っていたのはファンの大歓声と騎手仲間からの胴上げ。林は「本命馬をとばしてすみませんでした。これからも馬の跳ぶ奇麗な姿を見てもらって、障害レースを応援して下さい」と頭を下げ、愛用のブーツや2000回騎乗時のゼッケンをスタンドへ投げ込んだ。
86年からコツコツと積み上げた2000の数字。それは林家の戦いでもあった。この日、セレモニーに参加した知子夫人(50)は「いつもドキドキして見守っていました。最後まで無事に帰ってきてくれてよかったです」。落馬が多い障害レース。他の障害騎手の妻とレース中の心持ちを相談し合ったこともあった。長男・修平さん(27)は「今日は母の“お疲れさま会”でもあります」とねぎらいの言葉を掛けた。
現在障害リーディング首位。余力を残しての引退に見えるが「G1を勝って、いつやめてもいいと思ってからレースが怖くなった。もう満足です」と笑顔。改めて最も印象深い1鞍を問われ、「今日ですよ」と林。最後のハードルを無事飛び越え、静かにムチを置いた。
◆林 満明(はやし・みつあき)1966年(昭41)10月31日生まれ、滋賀県出身の51歳。所属は栗東・フリー。86年3月1日、ウキシバクイーンで初騎乗。同16日、シマノスピードで初勝利。障害は同15日、ビュウガールで初騎乗。同年10月12日、シマノゴットで初勝利。JRA通算3610戦277勝。うち障害はJRA歴代1位となる2000回騎乗して197勝。アップトゥデイト(15年の中山大障害、中山グランドジャンプ)のG1・2勝を含む障害重賞15勝。1メートル56、53キロ。血液型O。