【秋華賞】ブーケドール マル秘馬具でアーモンド級トモの成長力
2019年10月09日 05:30
競馬
「(昨年の)秋華賞当時のアーモンドアイもそうだったが、トモ(後肢)を強く踏み込んで前肢と追突する(ぶつかる)ようになったみたいだ。馬が行く気になってトモが余計に(前に)入るのかも…。いずれにせよ、トモがそれだけパワーアップしたのだろうね」。師が見つめるトモは筋肉でせり上がっている。ひと夏の成長。椀こ着用がその確かな証だ。
前後肢の追突で知られるのが戦後初の3冠馬シンザン。前肢にぶつかるほど踏み込みが強い後肢の蹄を保護するため、後に「シンザン鉄」と呼ばれる特殊蹄鉄を用いた。「勝利の大輪を咲かせてほしい」とのオーナーの願いから命名されたブーケドール(フランス語で“黄金の花束”)。昭和の3冠馬と平成の3冠牝馬を想起させるトモの踏み込みが黄金の大輪を引き寄せるか。
「休み明けの前走(紫苑S3着)は外枠から立ち遅れて、前に出していったら力んだ。直線では目標にされた。悲観するような内容ではなかった」と同師は振り返る。昨年のアーモンドアイは鉄砲が利く気性とあってオークスから直行したが、こちらは同厩舎の10年3冠牝馬アパパネのような叩き良化型。「今度は1度使ったことで、だいぶいいと思う。環境の変化にも動じない牝馬。初の関西遠征も乗り切れる」。同師はテレビの天気予報番組に目を向けると表情を曇らせた。「台風上陸か…。金曜の輸送を前倒しするかもしれないな」。週末の競馬開催にも影響しかねない大型で猛烈な台風19号の接近。今後の成り行きが懸念されるが、椀こを着けた3歳牝馬は順風満帆に秋の大一番へ態勢を整えている。
▽第23回秋華賞(18年10月14日、京都)
オークスから中146日のぶっつけながら単勝1・3倍の断然人気を集めたアーモンドアイ。後方追走から4角で大外に持ち出され、1頭だけ次元の違う加速力を披露。直線入り口では先頭のミッキーチャームとは10馬身以上の差があったが並ぶ間もなく1馬身半突き放した。史上5頭目の牝馬3冠を達成。国枝師は10年アパパネに次いで2度目の牝馬3冠を獲得した。ルメールは「日本で一番強い馬」と最大級の賛辞を贈った。