【チャンピオンズC】ベリル“最強砂王”最短6戦6勝無敗V 音無師「着差以上に強かった」
2019年12月02日 05:30
競馬
「勝つことができて何より。道中はいい位置でリズム良く運ぶことができました。直線は両サイドに素晴らしい馬がいて、なかなか前に出られなかったけど3頭併せで抜け出して改めて強さを感じました」。昨年のスプリンターズS(ファインニードル)以来、1年以上、G1勝ちから遠ざかった。1番人気馬にも何度もまたがっており責任を感じていた。「今年、人気馬にもたくさん乗りながら勝つことができず申し訳なかった。クリソベリルが勝ってくれてありがたい」。ファンに感謝した。
馬の強さも底が見えない。6戦6勝での古馬G1制覇は02年ファインモーション(エリザベス女王杯)と並ぶ快挙だ。11キロ増で勝ち切った馬体は、さらなる成長を予感させる。「普段はおっとりしている」と音無師。のんびりした性格で担当者を困らせることがないが、競馬になるとすさまじいばかりの勝負根性を発揮する。過去5戦は圧勝続き。2着馬に計26馬身もの差をつけ、かえって「モマれてどうか」と不安視された。全く問題なかった。ついに接戦を制しひと皮むけた。「川田君はこの馬のことをよく分かっている。堂々とした乗り方。ゴール前でシュッと抜けてきた。着差以上に強かった」(同師)
完全無欠の若きダート王の誕生。暮れの東京大賞典は見送ることが決定済み。フェブラリーSも「距離が短い」(同師)とパスする意向。国内を制圧した以上、来春のターゲットは海外だ。候補は3つ。まずは米国のペガサスワールドC(1月25日、ガルフストリームパーク、ダート1800メートル)。そして世界最高額、約10億円の1着賞金を懸け、創設元年を迎えるサウジカップ(2月29日、キングアブドゥラジズ、ダート1800メートル)。さらにドバイワールドC(3月28日、メイダン、ダート2000メートル)。オーナーのキャロットファーム・秋田博章代表は「ここを勝てれば海外へと思っていた。検疫の問題もあるし、転戦まではどうかと思うが、じっくり考えたい」。仮に米国から中東転戦で3連勝なら、その3戦で獲得賞金20億円超えだ。無限の可能性を秘めた無敗の3歳馬。新年の照準は世界制圧だ。
【アラカルト】
☆激戦 G1馬7頭が出走した。これで6年連続、G1優勝経験馬の勝利となった。
☆浅いキャリア 6戦目での古馬G1レース勝利はファインモーション、リアルインパクト、フィエールマンに次いで4頭目。
☆若さが武器 3歳馬の勝利は昨年のルヴァンスレーヴに続いて5度目。
☆最強 ノーザンファームは秋華賞からJRA・G1実施機会7連勝。今年G116勝目。
☆勝ち馬の馬名の由来 「金緑石」。研磨によって光の筋が猫の目のように見えると「キャッツアイ(猫目石)」と呼ばれて価値を増す。
◆クリソベリル 父ゴールドアリュール 母クリソプレーズ(母の父エルコンドルパサー)牡3歳 栗東・音無厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績6戦6勝(JRA3戦3勝) 総獲得賞金2億2460万2000円。