東京新聞杯が紡いだ 田中勝春“涙の物語”
2020年02月07日 05:30
競馬
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しかし、ここで焦ってしまったと続ける。「勝ちたい気持ちが強過ぎて早めに追いだしてしまいました」。その分のツケが最後に回ってきた。あと1頭かわせば勝てるところまで追い上げながら最後の最後で伸びを欠いた。300メートルに及ぶ叩き合いの結果、鼻差の2着に敗れた。
「セキテイリュウオーが一瞬しか脚を使えないタイプだと分かっていたのに、こういう負け方になって悔しかったです」。レース後、田中勝騎手は泣きに泣いた。とめどなく涙があふれた理由は、しかし、ただ惜敗したからではなかった。鼻差でセキテイリュウオーを破ったのはヤマニンゼファー。前年の安田記念の覇者で、その時、騎乗していたのが田中勝騎手だった。また、師匠である藤原師に初のG1勝利を届けられなかったことも涙が頬を伝った理由だった。
それから3年後の96年、藤原師は現役調教師のまま急逝してしまう。「結局、G1を勝たせてあげられませんでした。だから今、余計にあの天皇賞が残念に思えるんです」。さて、今年の東京新聞杯はどんな物語につながる結果が待っているのだろう。好レースを期待したい。(フリーライター)