【桜花賞】アパパネ1冠導いたベテラン蛯名の“余裕”
2020年04月10日 05:30
競馬
アパパネと蛯名騎手のコンビはちょうど10年前の桜花賞に出走。いつも通りゲート入りを渋ったが、スタートすると掛かり気味に先行した。1番人気に推された2歳女王の鞍上・蛯名騎手は慌てなかった。
「あの日の芝は比較的早めの時計で前が残る傾向にありました。だからある程度、出して行きました。口が敏感な馬なので行きたがるそぶりを見せたけど、抑え切れないほど折り合いを欠いたわけではありません。全然心配しませんでした」
その言葉通り、最後はしっかりと伸びると第70代桜の女王となってみせた。
「勝ちを確信したのはゴール前10メートル」と語る蛯名騎手だったが、彼との会話の中で今でもよく覚えていることがある。当時、彼は次のように語っていた。
「返し馬が終わった後、外ラチ沿いを歩かせていると、咲いている桜が目に入りました。こんな奇麗な舞台で、チャンスのある馬に乗れるのはありがたいと感じました」
さすが凱旋門賞でも好走した経験を持つベテラン騎手。余裕が違うと感心したものだ。
あれから10年。新型コロナウイルス騒動に揺れる今年だが、何とか第80回となる桜花賞が施行されそうだ。果たしてどんな名勝負が見られるか。現在はケガで休養している蛯名騎手の復帰と共に、今から待ち遠しい気持ちである。
(フリーライター)