【フェブラリーS】アルクトス100点!ごつい筋肉と“北斗七星”よりも流麗なボディーライン

2021年02月16日 05:30

競馬

【フェブラリーS】アルクトス100点!ごつい筋肉と“北斗七星”よりも流麗なボディーライン
<フェブラリーS>ダートにも芝にも対応できる二刀流ボディーの持ち主アルクトス(栗田)
 【鈴木康弘「達眼」馬体診断 】 混戦に断を下す2強ボディーだ。鈴木康弘元調教師(76)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。冬のダート王決定戦「第38回フェブラリーS」(21日、東京)ではアルクトス、カフェファラオに満点をつけた。なかでもアルクトスはダートにも芝にも対応できる“二刀流”ボディー。芝の切れ目からスタートする独特のコースで威力倍増だ。
 天は二物を与えずといいますが、ギリシャ語で北斗七星(アルクトス)と名付けられた鹿毛馬は例外なのか。ひと目でダート馬と分かるごつい筋肉をつけているのに、その体形は額から鼻筋に流れる大流星のように美しい。芝馬と思わせるボディーラインです。ひしゃく(斗)形の北斗七星よりも流麗な輪郭を描いている。各部位が滑らかにリンクしているためです。

 砂の上を突進する分厚い筋肉と、芝の上を弾むような流麗な体形を兼備した鹿毛。いにしえの時代、北斗七星は「帝車」という天帝の乗り物に見立てられていたそうです。天帝のアッシーくんを務めたご褒美に二物を与えられたのかも…なんて冗談はさておき、砂にも芝にも対応できる馬体の二面性がフェブラリーSでは最大の武器になります。

 舞台となる東京ダート1600メートルコースはスタート地点から芝が97メートル続きます。短い距離とはいえ、発馬直後の大切なポイント。ここで流れに乗り損なったり、気分を害したりすれば大きなビハインドを背負うことになります。オールダートのチャンピオンズC(中京ダート1800メートル)では問われなかった芝適性がフェブラリーSでは重要な意味を持ってくる。3年前のこのレース。ダート馬らしい発達した前肢と芝馬を思わせるしなやかな後肢を持つノンコノユメがJRA・G1初制覇を飾ったのは象徴的でしょう。アルクトスも砂&芝二刀流の体を生かして東京ダート1600メートル5戦4勝。唯一取りこぼしたのは昨年のフェブラリーS(9着)だけです。

 そこで1年前の馬体写真を書棚の奥から引っ張り出して今回と比較してみると…。目の輝きが全く違う。昨年時の馬体診断では「目力がもう少し欲しい」と注文を付けましたが、そのリクエストに応えるような強い眼光を宿しています。当時が4カ月余の休養明けなら今回は中2週の出走。臨戦過程の違いが目に表れている。目は口ほどに物を言います。2月の空にきらめく北斗七星のように光り輝く目が語りかけてくるのは…。 (NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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