心優しき女性厩務員 大変だけど幸せな愛馬との日々「一緒に食べる朝ご飯は本当においしい」(後編)
2021年06月24日 14:59
競馬
競馬界では“担当馬を引き取る”ことはタブーとされてきたが、勇気あるパイオニアの行動によって、潮目が変わってきたことは間違いない。
「『できる人、やりたい人がやる』ことが大前提ですが、“担当馬を引き取る”ことが不思議に思われない世の中になってほしいです。そして、私も馬を引き取りたいと思っている人に、アドバイスやお手伝いができれば。担当馬を引き取ることは、命がけで頑張って走ってくれた愛馬への、私なりの恩返しのつもりです。それが叶わなかった子の分まで、余生をのんびり過ごしてくれることを願っています。いろいろと大変なことはありますが、休みの日にカティと一緒に食べる朝ご飯は本当においしくて。いろいろなつらいことを忘れて、最高に幸せを感じられる時間です!」
今年の4月6日には担当馬のアンビートンレインがレース中に故障して、安楽死となった。それ以来、すべての人馬が無事にレースを終えてほしいと願う気持ちはさらに強くなった。そして、できることなら、競走馬としての役目を終えた馬も、1頭でも多く助けたい―。馬を愛する1人の女性厩務員の気持ちは、もしかすると真っすぐ過ぎたのかもしれないが、だからこそ周りの人々を動かした。その波が少しでも多くの人に広がることを願いたい。
◇西野 沙織(にしの・さおり)1990年(平2)12月18日生まれ、岩手県出身の30歳。かつての担当馬には昨年の水沢競馬場の金杯を制し、現在はJRA3勝クラスのシンボがいる。趣味は馬遊び、海遊び、おいしいものを食べること。ツイッター(@mochunyan)で愛馬の日常を積極的に発信している。
◇カティサンダ(牡8)父デュランダル 母エアヴァレナ(母の父エルコンドルパサー) 13年5月6日生まれ。生産者は北海道様似町の猿倉牧場。通算成績101戦7勝。総獲得賞金1054万8000円。18年には交流重賞のクラスターCに出走して10着だった。曾祖母は80年のオークスを制したケイキロク。馬名の由来は「オーストラリアの幻の湖」。