【七夕賞】トーラスジェミニ重賞初V、小桧山師は10年ぶり歓喜&JRA通算200勝
2021年07月12日 05:30
競馬
おうし座(トーラス)とふたご座(ジェミニ)。星座にちなんで命名された鹿毛が名手の手綱にぴたりと折り合っている。やや重馬場にもノメらず、逃げるロザムールの2番手を追走した。4角でもただ1頭、馬なりの手応え。しぶとく粘るロザムールを首差ねじ伏せてのゴール。「厩舎にいい状態に仕上げてもらったのが大きい。安田記念(5着)から距離が延びるのが不安材料だったが、対応してくれた」。テレビインタビューに応える戸崎の傍らでは小桧山師が前走比6キロ減の馬体に頼もしげな視線を向けている。「1週前にはスタッフたちが少し体が重いと言っていたが、直前に馬が自分で体をつくった。装鞍所ではいつになくやる気になっていた。ゴール前では何かに外から差されると思っていたが、頑張ってくれた。この勝利で名実ともにオープン馬になれた」。2歳時にはスズメのさえずりにも飛びのくほどの怖がりだったが、キャリアを重ねて“ノミの心臓”を解消。通算29戦目、重賞13回目の出走でついにタイトルをつかんだ。
小桧山厩舎にとって10年ぶりの重賞制覇はJRA通算200勝のメモリアルV。地方交流レースに管理馬を送り続けたため中央競馬には専念できなかったが、開業25年で大台に到達した。「なかなか重賞を勝てず、競馬の厳しさは身に染みている。でも、調教師をやめなくて良かった。定年前にこんなに素晴らしい馬に出合えるなんて思ってもみなかった」。2年半後に70歳定年を迎える同師は続けた。トーラスジェミニに重賞タイトルを…。胸の内の短冊に込めた願いをかなえてくれた福島の空を小桧山師はもう1度見上げた。
◆トーラスジェミニ 父キングズベスト 母エリモエトワール(母の父マンハッタンカフェ)16年4月30日生まれ 牡5歳 美浦・小桧山厩舎所属 馬主・柴原榮氏 生産者・北海道新冠町の川上牧場 戦績29戦8勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億9751万8000円。馬名の由来はおうし座とふたご座。