【東西ドキュメント・美浦=8日】午前10時の閉門時刻が近づいた北馬場で藤沢和師がマスク越しにつぶやいた。「(70歳)定年を前にまさか試験を受けるとは思わなかったな(笑い)」。ダービー卿CT(15着)でスタート直後に異常歩様を見せて大差負けしたレイエンダ(京成杯AH)に課された平地調教再審査。JRA審判部の職員や藤沢和厩舎のスタッフら約20人が見守る中、津村を背にダートコースで滑らかに加速していく。直線で津村が激しく手綱を動かすと、力強くストライドを伸ばした。「馬なり調教ばかりだからびっしり追われてびっくりしたみたい。前走はスタート後に挟まったようだし試験に落ちる要素は何もないね」と語った通り、無事に合格した。
「JRAから“馬場の真ん中を通り、いっぱいに追って(5F)70秒を切るように”との指示。(前走後に)去勢したせいか、乗りやすい」と語る津村。藤沢和厩舎の所属馬に騎乗するのは07年10月のプラタナス賞(マイネルアテッサ11着)以来14年ぶり。「引退される前に乗せてもらえるのでいいところを見せたい」と梅崎に意気込みを語った。