【AR共和国杯】アンティシペイト 待望の本格化!国枝師「本物になってきた。タイトルを待ち望みたい」
2021年11月04日 05:30
競馬
本格化したステイヤーの見本のような追い切りだ。父ルーラーシップ譲りの胴長の巨体をゆったりと伸ばす。緩さを解消したトモの筋肉を収縮させながら、じわじわとギアを上げた。刃先を薄く研ぎ澄ませたカミソリの切れ味ではなく、長持ちするように厚く鈍角に研がれたナタの切れ味。ステイヤーの末脚でワンデイモア(3歳2勝クラス)、サトノエルドール(5歳オープン)と併入した。
「調教駆けしない馬だからこの動きで十分」と語る国枝師は、才能の実が熟すまで辛抱強く待つスタンスで知られる。鳴かぬ競走馬を鳴くまで待てる調教師。「待ち望む」と命名されたステイヤーも緩さを解消するまで無理に仕上げず、才能が開花するのを持ち続けた。3歳春にデビュー4戦目で初勝利。その後、レース間隔を空けながら2400メートル、2600メートルと距離を延ばして3連勝したが、菊花賞は賞金除外。再び間隔を空けて自己条件をコツコツと歩んだ。「大型馬で時間がかかったけど、急がずにじっくり仕上げた」と言う。先行しながら詰めを欠いて惜敗続きだった3勝クラスも前走で勝ち上がった。前々走から着用しているブリンカーの効果だ。「気持ちが安定しないから着けてみたところ、後ろからこれまでにない脚を使ってくれた」
鞍上は前走時の横山和から横山武へ兄弟リレー。「兄さんのアドバイスをもらってどんな競馬をするか。エフフォーリア(天皇賞・秋)みたいに強気に乗られると困るけどね」と国枝師はニヤリと笑った。次週からエリザベス女王杯には秋華賞優勝アカイトリノムスメ、ジャパンCにはカレンブーケドール、阪神JFにはアルテミスS勝ちのサークルオブライフ…と今秋もターフを席巻する国枝厩舎。G1のはざまに組まれたG2は重賞タイトルを待ち望んできたステイヤーの出番だ。
《3勝クラスVから乗るぞ出世コース》前走3勝クラスからの臨戦でアルゼンチン共和国杯に挑み、ここで重賞初制覇を飾った馬の代表例が15年覇者ゴールドアクター。オクトーバーS勝利後に当レースVをステップとして、次戦の有馬記念も制した。ほかに11年トレイルブレイザーは古都S2着から格上挑戦で優勝。のちに京都記念Vや海外重賞に挑戦した。08年スクリーンヒーローはオクトーバーS2着から制覇し、次戦のジャパンCも勝った。