落馬骨折を乗り越え 吉田豊“1000万ドルの輝き”

2023年03月03日 05:17

競馬

落馬骨折を乗り越え 吉田豊“1000万ドルの輝き”
サウジカップを制したパンサラッサ。鞍上の吉田豊はガッツポーズで雄たけび(AP) Photo By AP
 【競馬人生劇場・平松さとし】皆さんご存じのように先週末、現地時間2月25日にサウジアラビアで行われたサウジカップ(G1)をパンサラッサ(牡6=矢作芳人)が優勝。1着賞金1000万米ドル、日本円にして約13億3600万円を手にした。
 騎乗したのは吉田豊騎手。騎手生活30年目で現在47歳のベテランジョッキーだ。

 そんな吉田騎手を最初に全国区にしたのはメジロドーベル。騎手デビュー3年目の96年に出合ったこの馬と共に阪神3歳牝馬S(現阪神ジュベナイルフィリーズ)やオークス、エリザベス女王杯連覇など、実にG1を5つも制した。

 「デビュー3年目というのが良いタイミングでした。もっと早ければ乗れなかったと思うし、遅ければ減量もなくなっているので乗せてもらえなかったのではないでしょうか…」と吉田豊。

 その後もタイキシャトルを破ったマイネルラヴでのスプリンターズSなど、G1を計9勝。順風満帆と思われた彼をアクシデントが襲ったのは17年。競走中の落馬で首を骨折。長期の休養を余儀なくされた。
 「いつまでたっても折れた骨がくっついてくれませんでした。“やれる事は全てやったので、後はただつくのを待つしかない”とお医者さんには言われました」

 定期的に検診したが何度通院しても進展が見られず、半年以上が過ぎた。

 「骨がつくかどうかは自分の努力でどうこうできることではないので、さすがにこの時は引退を考えました」

 しかし18年の夏になると、やっと希望の光が見えた。

 「暖かくなってきたのが良かったのか、骨がつき始めました」

 患部に入れたピンを抜く手術等もあり、その後も少し時間を要したが、19年3月、約1年3カ月ぶりについに競馬場へ戻ってきた。そして22年にはパンサラッサを駆ってドバイターフ(G1)を同着ながら優勝。08年ブルーメンブラットで制したマイルチャンピオンシップ以来10勝目となるG1制覇を中東で飾ると、先週はサウジカップを優勝。一度は引退も考えた男は、賞金約1億3600万円を手にしたのだった。 (フリーライター)

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