【競輪記者コラム】牧田悠生 いじめと5度の養成所試験を乗り越えた不屈の男

2023年08月03日 10:16

競輪

【競輪記者コラム】牧田悠生 いじめと5度の養成所試験を乗り越えた不屈の男
123期一番乗りで特別昇班を決めた牧田悠生 Photo By スポニチ
 どん底からはい上がってきた男は強い――。今年デビューした新人で初の特別昇班を達成した牧田悠生(24=新潟・123期)。本格デビューから無傷の9連勝で決めると、「養成所でいい成績とは言えなかった自分が、一番乗りで特昇をできたことに喜びと同時に驚いています」と率直な思いを口にした。在所40位の男がフレームに刻むのは「不撓不屈(ふとうふくつ)」。この男、本当にくじけない強さを持つ。
 高校ではいじめられていた。入学直後、小、中学校と続けていた野球部に入るも、のけ者にされた。夏休み前には不登校に。それでも牧田はくじけず、負けず、学校に復帰した。「腫れものに触れる扱いで、卒業まで友達もいない学校生活を送りました。乗り越えたというより、我慢し続けていつか見返したいというような気持ちを持っていました」と強い意志で乗り越えた。

 競輪との出合いは引きこもっていた時。「競輪ファンだった父に弥彦記念に連れて行ってもらいました。その時に見た浅井(康太)さんを見て選手を目指しました」。競輪が心を震わせ支えてくれる存在となった。ただ、選手への道は甘くなく、養成所試験は4度不合格。諦めようと思った時もあったが、「父も母も目指したいなら回数制限までやればいいということで、背中を押されて続けました」。迎えた5回目の試験、やっとの思いで選手への重い扉をこじ開けた。

 夢だった競輪選手人生は苦悩と苦労、そして努力に比例し最高のスタートを切った。「選手としての目標はタイトル戦線で活躍できる選手になること。ただ、先々だけでなく目の前の一走一走を1着で買ってくれているファンの方々のために、どんなレースでも1着を目指して全力で走れる選手になりたい」。不撓不屈の男の逆襲は、まだ始まったばかりだ。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の28歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。昨年は中央競馬との二刀流に挑戦。今年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。

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