もっと聞きたかった…20年前の仏での戦い

2023年08月18日 05:00

競馬

もっと聞きたかった…20年前の仏での戦い
03年ムーランドロンシャン賞で2着になったローエングリンと03年ジャックルマロワ賞で3着と善戦したテレグノシス(右)(AP) Photo By AP
 【競馬人生劇場・平松さとし】現地時間13日、フランスで行われたジャックルマロワ賞(G1)はインスパイラルが優勝。手綱を取ったL・デットーリ騎手と共に昨年に続く連覇を達成した。
 この仏国伝統のマイルG1は98年にはタイキシャトル(美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝するなど、日本勢にも縁のある競走。03年には2頭の日本馬が挑戦している。02年のNHKマイルC覇者テレグノシス(美浦・杉浦宏昭厩舎)と03年安田記念3着などがあったローエングリン(美浦・伊藤正徳厩舎)だ。

 2頭の鞍上は前者が勝浦正樹騎手、後者は後藤浩輝騎手。私も現地入りし、調教にまたがった2人に、話を伺った。

 まずは勝浦騎手。

 「杉浦先生も厩務員さんも“良い感じ”と言われていたけど、実際、そうだと感じました」

 一方、後藤騎手。

 「急激に良くなっている感じだけど、正直、もう少し時間が欲しいかも…」

 レースはローエングリンが先行し、見せ場をつくったが、後藤騎手の印象通りか、最後に失速して10着に。一方、テレグノシスは末脚を伸ばし、一瞬先頭に立つ場面をつくったが、最後は3着に惜敗した。

 レース後、後藤騎手が「途中で失速してしまったので、後は“勝浦、頑張れ!!”と思いながら追いました」と言えば、勝浦騎手は「後藤さんが後退していったので“何としても自分が勝つぞ!!”と思って追ったのですが、少し及びませんでした」と言った。それでも勝ったシックスパーフェクションズはマルセルブーサック賞(G1)の勝ち馬で、直後にはブリーダーズCマイル(G1)も勝つ名牝である事を考慮すれば、大善戦といえた。

 さて話には続きがある。2頭はそのままフランスに残り、1カ月後、当時9月初旬に行われていたムーランドロンシャン賞(G1)にも出走。今度はローエングリンが2着でテレグノシスが13着と立場を入れ替えた。あれから20年が過ぎ、伊藤正師も後藤騎手も鬼籍に入ってしまった。当時の懐かしい話をもう聞けないのは残念でならない。 (フリーライター)

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