もっと聞きたかった…20年前の仏での戦い
2023年08月18日 05:00
競馬
2頭の鞍上は前者が勝浦正樹騎手、後者は後藤浩輝騎手。私も現地入りし、調教にまたがった2人に、話を伺った。
まずは勝浦騎手。
「杉浦先生も厩務員さんも“良い感じ”と言われていたけど、実際、そうだと感じました」
一方、後藤騎手。
「急激に良くなっている感じだけど、正直、もう少し時間が欲しいかも…」
レースはローエングリンが先行し、見せ場をつくったが、後藤騎手の印象通りか、最後に失速して10着に。一方、テレグノシスは末脚を伸ばし、一瞬先頭に立つ場面をつくったが、最後は3着に惜敗した。
レース後、後藤騎手が「途中で失速してしまったので、後は“勝浦、頑張れ!!”と思いながら追いました」と言えば、勝浦騎手は「後藤さんが後退していったので“何としても自分が勝つぞ!!”と思って追ったのですが、少し及びませんでした」と言った。それでも勝ったシックスパーフェクションズはマルセルブーサック賞(G1)の勝ち馬で、直後にはブリーダーズCマイル(G1)も勝つ名牝である事を考慮すれば、大善戦といえた。
さて話には続きがある。2頭はそのままフランスに残り、1カ月後、当時9月初旬に行われていたムーランドロンシャン賞(G1)にも出走。今度はローエングリンが2着でテレグノシスが13着と立場を入れ替えた。あれから20年が過ぎ、伊藤正師も後藤騎手も鬼籍に入ってしまった。当時の懐かしい話をもう聞けないのは残念でならない。 (フリーライター)