「屈腱炎からの復活V」ヴェローナシチーも続きたい
2024年07月04日 11:00
競馬
屈腱炎が判明した後、馬の温泉でおなじみの福島県いわき市「競走馬リハビリテーションセンター」に移った。手術は無事に成功。長いリハビリ生活を終え、約1年4カ月ぶりに栗東での調教を再開した。帰厩時の馬体重は前走時506キロから50キロ増の556キロだったが坂路とプール併用で20キロ絞れた。先月26日は坂路4F55秒7~1F12秒7を馬なりで刻み、少しずつピッチを上げている。「能力が高いので時計を出そうと思えば出るが、そこは細心の注意を払いながら段階を踏んでいる。その中でも、ほれぼれする脚さばきと乗り味だね」と絶賛した。
当歳の頃、生まれ故郷の北海道新冠町カミイスタットで出合い、佐々木師は「雰囲気があり、見た目も良かった。この馬とダービーに行く」と、ひと目ぼれ。21年7月11日の小倉芝1800メートルでデビュー。2戦目で初勝利を飾った。翌年、ダービー出走を懸けた東上最終便・京都新聞杯では後方から3角手前で一気にポジションを押し上げる強気なレース運び。直線でいったんは先頭に立ったがゴール前、外から勝ち馬アスクワイルドモアに差され、半馬身差の2着。「目いっぱいに仕上げて、勝てる自信があった。完璧な立ち回りをした勝ち馬があっぱれだけど少しの差、悔しかったね。ショックで落ち込んだよ」。賞金が足りず、ダービー出走はかなわなかった。
京都新聞杯で1番人気5着に敗れたブラックブロッサムは屈腱炎明けだった先月15日の保津峡Sを危なげなく押し切り、オープン入り。他にも今年だけで3月大阪城Sステラヴェローチェや6月鳴尾記念ヨーホーレイクが屈腱炎を乗り越え、復活Vを遂げた。まだ可能性は十分に残されている。地道にトレーニングを重ね、待ちに待った復帰戦はデビューの地・小倉。奇麗な芦毛の馬体が、もうすぐターフに戻ってくる。
◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市城東区出身の31歳。高校卒業後に北海道新ひだか町ケイアイファームへ。育成&生産に携わる。予想スタイルは取材の感触を重視。今週末は小倉出張。夜の食事が楽しみだ。