【追憶の京成杯オータムハンデ】97年クロカミ 先頭奪われても冷静に…孫たちにも継がれた我慢のレース
2024年09月04日 06:45
競馬
向正面、あっさりシナリオが崩れる。後方からドージマムテキが引っ掛かり気味に接近。先頭を奪った。ムキになって追いかけても仕方のないところ。だが、クロカミは冷静に2番手で我慢した。
「あそこがポイントだった。精神的に大きく成長した」と松山康久師。自分を見失うことなく、クロカミは勝負どころを迎えた。
道中で息が入らなかった。厳しいペースにダンディコマンドはあっさりと下がっていった。クロカミはドージマムテキを早めにパス。一気に前に出た。4角最後方からハイペースを味方に追い込んだプレストシンボリの強襲を頭差しのいだ。
厳しい競馬を乗り切り、岡部騎手はご機嫌だった。「レースだけでなく、レース前の調整過程でも自分の理想に近づいているんだよ」と笑顔で話した。
マイルG1奪取を期待されたクロカミだが、次走は着実に府中牝馬S(当時G3)へ。ここも快勝し、翌年、5歳秋で引退した。
クロカミは現代競馬にも大きな影響を与えている。娘のクロウキャニオンからボレアス(11年レパードS)、カミノタサハラ(13年弥生賞)、ヨーホーレイク(22年日経新春杯、24年鳴尾記念)が出ている。
どちらかと言えば、一瞬の切れ味よりジリジリと伸び続けるイメージ。クロウキャニオンの子のそんなレースを見るたびに、我慢の競馬を披露した祖母クロカミを思い出す。