塩谷 UAEで守備職人に成長 日本代表追加招集から先発で決勝の舞台へ!

2019年01月31日 20:36

サッカー

塩谷 UAEで守備職人に成長 日本代表追加招集から先発で決勝の舞台へ!
ランニングする塩谷(中央)ら日本代表イレブン(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 初めて取材したのは、昨年12月12日だった。クラブW杯の開幕戦。0―3から反撃の口火を切るゴールをもたらしたアルアイン所属の塩谷を、ミックスゾーンで待った。集まった記者は4人。日本人記者の姿を見つけると、物珍しそうな顔をして足を止めてくれた。
 同じクラブW杯に参加する、鹿島アントラーズの担当記者としてUAEを訪れていた。「昨年1年は、すごく大変で。いっぱい、いっぱい、家族に迷惑をかけました。だいぶ慣れてきて、やっと楽しめるようになりました」。それがUAEでの暮らしぶりについて語ってくれた第一声だった。

 世間の記憶に新しい、決勝のレアル・マドリード戦でのヘディングゴールも生で見た。「点を取りたいと思う気持ちはあったけど、にしては、できすぎのコースだった」。ゴールの感慨を語ったのは一瞬。ミックスゾーンでは、完敗した悔しさが言葉の端々から伝わってきた。それでもレアルに爪痕を残した日本人がいたことが、同じ日本人として誇らしかった。

 帰国の途に就く途中、アブダビの国際空港でふと電子看板が目に留まった。塩谷がメインで、アルアインのチームメートと抱き合っている写真だった。助っ人選手が己の実力で人気を博し、チームの“顔”となっている。おもわず写真に収めた。

 日本に一時帰国し、年明けに戻ったUAEで、まさかこの話に続きができるとは思わなかった。

 塩谷が広島を離れ、UAEのアルアインに移籍したのが17年の6月。「外国人選手として来ているので、いいプレーをしないと、すぐにいろんなところからいろんなことを言われる。そういうプレッシャーの中でやらなきゃいけないのは、結構鍛えられた」。いるはずの通訳がいない中での奮闘だった。精神がタフになったという。

 日本にはいない、異国のFWとの対戦が楽しいとも話していた。「1人で試合を変えてしまえる選手がいろんなチームにいる。特に外国人。それは凄く面白いところ。実際、今年(18年)の初めの試合でモロッコ人にちんちんにやられて、初めて途中で替えられた。皆さんが思っているより、素晴らしい選手がいる」。アルアインに来て、本職のサイドバックからセンターバック、ボランチまで。守備位置なら何でもこなせる守備職人に成長した。

 目標も、伸びたという。「正直プロになった時は、30歳までサッカー選手ができると思っていなかった」。その年齢に到達した今は願っている。「40歳までプレーしたいなって思いもある。ここまで大きな怪我なく来ることができたのはラッキー。怪我がない限りはできるだけ長くサッカーしたい」。そう話した13日後、長らく復帰を待ち望んでいた日本代表に、追加招集で声が掛かった。

 合流後の活躍は記すまでもない。17日のウズベキスタン戦では、何という巡り合わせか、“地元”のアルアインで、森保ジャパンのデビュー戦で、日本を1次リーグ首位突破に導くミドルシュートを決めた。続くサウジアラビア戦、ベトナム戦では1点差の最終盤の守備を締めるクローザーとして任務を全う。イラン戦では負傷の遠藤に代わる緊急登板を見事に果たした。今、試合後に囲む記者は2、30人に増えている。

 2月1日。いよいよ決勝が始まる。会場は、塩谷がレアルからゴールを決めた、首都アブダビのザイード・スポーツシティ・スタジアムで行われる。塩谷はレアルから公式戦で得点を奪った史上2人目の日本人。ダブルボランチを組む柴崎は16年のクラブW杯決勝で奪った史上初の日本人。相棒にも不思議な縁がある。

 追加招集から、最後は先発で決勝の舞台へ。「今後、日本代表に残っていくために、凄く大事な試合になる」と話す塩谷が、私には、何かを残す予感がしてならない。(波多野 詩菜)

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