引責辞任後初 J2新潟 是永前社長 サポーターへ アルビレックスを「信じてほしい」
2020年11月14日 12:00
サッカー
「それを言っちゃうとまた問題になる。やめておきます」
――辞任から1週間。心境の変化は?
「1週間で6キロも痩せた。無念の思いは当然あるけど、こう(辞任)しないとクラブが守られない。自分がいない方がクラブに迷惑を掛けないで済むなと。道半ばというかやることがたくさんあったし、それに関われなくなったのは無念」
――今回の件で痛感したことは?
「サポーターの声がたくさん届いた。普通、不祥事を起こしたクラブの経営者にはブーイングや“辞めろ”という声が大半だと思うが、みんな“続けてくれ”と言ってくれた。パートナー企業も大半がそういうリアクションだった。自分がやってきたことや仕事は認められていたんだなとありがたく感じた」
――さまざまな取り組みをしてきた。どんな2年間だった?
「18年9月から専務として関わり“とにかくスピードだな”という感じでみんなを巻き込んできたつもり。社員のみんなも“おっ”と驚いたと思う。みんなに伝えたのは“60点でいいから何とか早く回していこう”ということ。そうすれば成果も高まってくるし、早く物事が進むから」
――応援用ペンライト「プラネタスワン」、試合後に選手と一緒に乾杯する「オレンジバー」などサポーター目線でいろいろなことを考えて実行に移した。
「ワンマン社長だと思われていたかもしれないが、社員が自由な発想ができ、自由に意見が言える環境をつくることが重要だと思っていた。自分が全て決めているわけではない。プラネタスワンのネーミングも“光る棒”では一体感を得られなかった。(活躍した選手の背番号などを入れた限定ユニホーム)“神ユニ”の名前でもいろんな意見が出た。“マン・オブ・ザ・マッチ・ユニホーム”では面白くない。神ユニだから買わざるを得なくなる(笑い)」
――アルベルト監督の招へいもスピード感を持ってやった。
「ビジョンやしっかりした信念を持っている人を集めてくるのも人事。来年入ってくる高校生もアルベルトのサッカーは面白いという選手がいたので凄く良かったと思う」
――新潟のサッカーを確立するために19年4月に設立した「メソッド部門」の育成システムについては?
「ただ契約を続けるのでなくトップチームのサッカーを目指すんだという一体感を持ってやってほしい。地元の子供たちがアカデミーに入ってプロ選手になって海外に出て行くという夢がある。至恩(本間)も(海外の)デカいクラブに行ってほしい。村上(市出身)の子ですよ。地域に勇気や元気を与えると思う」
――やり残したこととは?
「(生活に不可欠なものにするという意味で)“電気、ガス、水道、アルビレックス”と言ってきたが、これをもっと具体的に可視化していくこと。ビッグスワンをスマート化するためにオレンジガーデンやオフィス(本社)を移転させた。新潟駅からスタジアムに向かう自動運転のバスができるとか。そういう機運にしていくために最先端を走っていたかった」
――新潟に戻って来たい気持ちは?
「まだ何も分からないです」
――今後はどうやって過ごす予定?
「この2年間はアルビのこと、新潟のことしか考えずに走り続けてきた。一回視野を広げた方がいいかなと思っている。昨年はスペインやシンガポールなどに行って視野を広げた。今後は世の中のトレンドとかを一回見てきた方がいいかなと。サッカーだけでなくいろいろ。それがいろいろなところで還元できると思う」
――年末でアルビの取締役も退任する。その後はどんな仕事をする?
「シンガポールで会社をやっている(アルビレックス新潟シンガポール・ホールディングスでCEOを務める)し、香港、バルセロナにもある。シンガポールに帰って、それらの事業をやる感じです。会社を大きくして(アルビの)スポンサーになるくらいかな」
――サポーターへのメッセージは?
「老若男女が幸せそうにスタジアムに集まって来ることって日本はおろか世界にもないと思う。凄くいいクラブだと思うし、それを一緒につくり上げていくのはロマンがあった。皆さんが信じているアルビレックスは世界に誇れるクラブになっていく。現時点でも世界に誇れる。ずっと信じてほしい」
◆是永 大輔(これなが・だいすけ)1977年(昭52)5月10日生まれ、千葉県出身の43歳。日大卒。08年アルビレックス新潟シンガポール社長就任。18年J2新潟専務就任。19年同社長就任。
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