福島・尚志 王座奪還へ“原点回帰” 名将・仲村監督「今はパスの練習しかしてません」
2020年11月26日 05:30
サッカー
「俺じゃなく選手権に出場する学石に話を聞いてあげてください(笑い)。全国に行けなかったことは悔しいですけど、今年は家族との時間がつくれる。僕と奥さんの両方の実家に行けるかもしれません」
選手権県予選で7連覇を目指した尚志だったが、準決勝で学法石川に0―1で敗れた。J2山形内定のFW阿部要門(3年)らタレントがそろっていたが、個人の能力に頼ったことが敗因となった。
「選手の身長もあったし、大ざっぱなサッカーをしてしまった。“センタリングを上げれば、ゴールを奪えるでしょ”と考えるくらい、攻撃への細かさが足りなかった。モビリティー(流動性)が必要だった」
悔しい敗北を経験したことで、仲村監督は尚志のサッカーを見つめ直した。FW染野唯月(現J1鹿島)らを擁して18年度の全国選手権で3位となった、あのパスサッカーを取り戻す覚悟だ。
「負けたからこそ原点に戻らないといけない。じゃあ尚志のサッカーとは何か。それはどんな相手でも下からつないで試合を支配すること。相手が来れば裏を取るし、来なければ下から回す。新チームはすばしっこいし技術も高いので、今はパスの練習しかしてません。原点回帰です」
17日にJヴィレッジで行ったU―16日本代表候補との練習試合(45×2本)では、3年生中心の1本目は0―1だったが、新チームでの2本目は1―0で勝利。徐々にチームの連係も取れてきている。
「全員サッカーをしようと伝えている。代表だからといってビビらないで、裏にボコボコ蹴ることなくしっかりつないでくれたので良かったです」
控え選手中心で臨んだ昨年の県新人戦は、準々決勝で福島東に敗れた。もしかしたら、あの時から絶対王者の歯車が狂いだしたのかもしれない。仲村監督はチームに良い流れをつくるため、今回はベストメンバーでいく。
「今年は選手も見ている人も楽しくなるようなサッカーをして、まずは新人戦で優勝します。そして来年度は選手権が100回の記念大会になる。一からやって全国制覇を目指します。強い尚志に戻します」
屈辱を乗り越え、自分を取り戻した尚志。さらに強くなり、悲願の日本一へと再出発する。(近藤 大暉)
○…選手権県予選で2年生ながら10番を背負ったボランチのMF松尾春希が、パスサッカーの中心となる。「つなぐことで選択肢が増える。ボールを持つことで攻撃の幅が広がるし、失点もしない」と的確にボールを散らしてチームを活性化する。「負けて得られることもあるけど、勝って何かを得る方が良い。勝ち癖をつけたい」と意気込んだ。
○…父親が米国人のU―17日本代表DFチェイス・アンリ(2年)がリーダーシップを発揮する。選手権県予選の準決勝では、本職のセンターバックだけでなくFWもこなした。「自分の名前を売れなくて残念」と悔やんだが、1対1の強さや1メートル83の長身から繰り出すヘディングはチームの武器となる。「自分がチームを引っ張っていかないといけない」と燃えていた。
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