修正力ついたG大阪・宮本監督 来季は攻撃の形の上積みを

2020年12月02日 05:30

サッカー

修正力ついたG大阪・宮本監督 来季は攻撃の形の上積みを
浦和戦の後半に指示を出すG大阪の宮本監督(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 今季のJ1は川崎Fが圧倒的強さで2年ぶりの優勝を決めた。史上最速、最多勝ち点、最多勝利、初のシーズン2度の10連勝。新型コロナ禍でかじ取りが難しい中、張本勲氏ではないが「あっぱれ」なシーズンだった。
 その川崎Fの優勝を眼前で見せつけられたのが、G大阪だった。優勝決定戦では0―5の大敗。現在2位で、順位は一つしか違わなくても、両者の間にある力差は大きかった。とはいえ、今後の伸びしろを多分に残したチームであることは証明したと思う。

 大卒2年目のDF高尾瑠は攻守で欠かせない右サイドバックへと成長。大卒1年目のMF山本悠樹も“ポスト遠藤”としての重責を担えるだけの器であることを示した。また、高卒3年目のMF福田湧矢のドリブルはJ1でも脅威になりつつある。そして何よりも、クラブが続投方針を固めている宮本恒靖監督である。

 監督の仕事。かつて日本代表を率いたフィリップ・トルシエ氏は「監督の仕事は、試合前に70%は終わっている」と口にしたことがある。コンディション作りに始まり、自分たちがどういうサッカーをするのか、相手の戦術への対応、ゲームプランニング…。あらゆる方面からその試合を想定し、練習で落とし込めるか。川崎Fに大敗した直後の11月29日・鳥栖戦では3バックを採用し、躍進を支えた堅守を思い出させようとした。その指揮官の狙い通り、チームは最少失点に抑えた。

 そして残り30%の仕事は試合中の修正、改善だろう。選手交代、システム変更、時には選手の配置換え。この点が宮本監督はうまくなっているような気がしている。9月23日の名古屋戦。後半開始と同時に3バックシステムを捨て、従来の4バックに回帰し、逆転勝利を呼び込んだ。FW渡辺千真ら途中出場の選手が試合を決めるゲームが多かったのも監督の修正力によるところが大きい。

 試合開始から相手の圧を受けて、そのまま押し切られる試合もあった。“70%”のところでの改善は必要だ。得点数や攻撃パターンは物足りない。だが、宮本監督はトップチーム指揮官になってまだ2年半。“伸びしろ”は残している。堅守をベースに来季は攻撃の形をどう上積みしていくのか。試合開始からどのように相手を圧倒していくのか。期待したい。

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