ウクライナがW杯王手 ロシア侵攻で延期PO快勝 2度目出場へVSウェールズ

2022年06月03日 04:30

サッカー

ウクライナがW杯王手 ロシア侵攻で延期PO快勝 2度目出場へVSウェールズ
<ウクライナ・スコットランド>プレーオフに勝利しW杯出場に王手をかけたウクライナ(AP) Photo By AP
 ロシアの侵攻を受けて3月から延期されていたW杯欧州予選プレーオフA組準決勝が1日に英国グラスゴーで行われ、ウクライナがスコットランドを3―1で下し06年ドイツ大会以来4大会ぶり2度目のW杯出場に王手をかけた。敵地で2点を先行して優位に試合を進め、戦禍の母国に希望を届ける勝利を挙げた。5日にW杯出場を懸けて敵地でウェールズと対戦する。
 満員の5万1000人が埋めた敵地。その一角で青と黄色のウクライナ国旗をはためかせる3000人のサポーターにイレブンが歩み寄り、頭上で両手を叩いて歓声に応えた。

 「国全体にとって偉大な勝利だ。選手は祖国で見ている人々、塹壕(ざんごう)にいる国防軍、病院で働いている人々、最後の一滴まで血を流して戦い、日々苦しんでいる人々のためにプレーした」

 ペトラコフ監督が感慨深げに語った。ロシアの侵攻を受けて自ら従軍を志願。代表指揮官の地位があるため願いは聞き入れられなかったが、選手とともに祖国に希望を届けた。

 前半33分にロングパス1本で抜け出したヤルモレンコが先制点。後半4分に加点し、2―1の終了間際には途中出場のドブビクがダメを押した。苦境を乗り越えた快勝だった。

 招集26人のうち16人を占める国内組はリーグ戦が打ち切られ、昨年12月から公式戦の機会がなかった。クラブの練習再開は4月。5月2日からスロベニアで代表合宿が始まったが、心身ともに困難な状況だった。それでもステパネンコは日々、前線の兵士からW杯出場に向けた激励のメッセージを受けていることを明かし「我々は魂と心を込めて戦わなければ」と宣言。この日は他の国内組5人と先発して勝利を支えた。

 祖国ではゼレンスキー大統領がSNSで選手を称賛。「不慣れとなった幸福を2時間もありがとう」と感謝した。5日にはW杯出場を懸けてウェールズと対戦。ジンチェンコは「国のため全力を尽くす」と必勝を誓った。

 【ウクライナ経過】
 ▽2月25日 ロシアの侵攻を受け、25日から再開予定だった国内リーグの後半戦が中断。
 ▽3月3日 ウクライナ協会が3月24日に控えていたスコットランドとのW杯予選PO延期をFIFAに要請。
 ▽8日 FIFAがスコットランド―ウクライナのPOを6月に延期すると発表。
 ▽5月2日 スロベニアで代表合宿が開始。親善試合を行っていたディナモ・キーウ(キエフ)の選手は5日から合流することになったため初日は11選手でスタート。
 ▽11日 敵地でボルシアMGとの親善試合に2―1で勝利。昨年11月以来の対外試合でロシアの侵攻後は初めて。ペトラコフ監督は「(国歌斉唱で)涙が出て鳥肌が立った」。
 ▽31日 ジンチェンコが試合前日に「我々の夢はただ一つ、戦争が終わること。そしてサッカーでW杯に行くこと」と涙の会見。

 《ペレ氏、侵攻中止呼びかけ》元ブラジル代表の名選手ペレ氏(81)がウクライナ戦開催に合わせロシアのプーチン大統領にウクライナ侵攻をやめるよう呼びかけた。SNSで「暴力を正当化する理由は存在しない」と発信。ペレ氏は17年にプーチン大統領と面会して握手を交わしたこともあり「争いを止める力はあなたの手にある。私がモスクワで握手したその手に」と訴えた。

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