水沼 フィールドプレーヤー初の父子代表、32歳苦労人FW「やっと夢のスタートラインに」
2022年07月14日 04:30
サッカー
幼少期から2世の宿命を背負ってきた。父は言わずと知れた横浜OBで元日本代表FWの貴史氏。これまでも何かと比較されてきたが、それでも持ち前の明るさと努力で乗り越えてきた。親子でのA代表入りは、Jリーグが発足した93年以降では、昨年3月に初となったGK前川黛也(神戸)と父のGK前川和也氏以来2組目。フィールド選手では初の快挙だ。
水沼は今季、首位を走るチームの軸として活躍。アシスト6はリーグ2位で、2得点を決めた6月はJ1月間MVPにも選出された。武器は右足から放たれる正確無比なクロス。森保監督も「クロスで得点チャンスを演出するところ、またゴール前にも入っていける」と期待を寄せる。
A代表の右FWは伊東、堂安、久保らがひしめく激戦区。それでも水沼は「自分にしかない武器がある」と自信をのぞかせる。モットーは「諦めずにひたむきに」。32歳147日で迎える19日の香港戦でA代表デビューすれば、日本歴代7位の年長記録となる。86年W杯予選で敗退し涙をのんだ父がなし得なかった夢舞台のピッチへ、遅咲きのFWが果敢に挑戦する。
《香港戦出場なら歴代7位年長デビュー》A代表初招集の水沼が今大会初戦となる19日香港戦で出場を果たせば、32歳147日で、78年細谷一郎の32歳173日に次ぐ歴代7位の年長デビューとなる。J開幕の93年以降では32歳339日の寺田周平(08年パラグアイ戦)、32歳194日の山本脩斗(17年中国戦)に次いで3番目。歴代最年長デビューは85年にW杯予選韓国戦で記録した与那城ジョージの34歳332日。
▼水沼貴史氏 本人から連絡が来た。ようやく入ることができて、うれしかった。ロンドン五輪の時も最後は選ばれなかったので悔しい思いをしたと思うが、今年は多くの人に評価されているのがいいし、僕が見ていてもいいなと思っていた。30歳を過ぎているが、ずっとやり続けてきたことが結果として出たのだから、本人が一番うれしいと思う。努力のたまものだし、ずっと願ってきた彼の思いが実った。親子で日本代表は、いずれはたくさん出るようになると思うが、やはりうれしい。でも、彼も「試合に出ないと」という思いだろうし、ピッチに立ってまた違う気持ちが僕にも彼にも出てくるはず。W杯の年で最後の最後に選ばれたが、頑張っていれば、その先につながるかもしれない。