川崎F入団が決まったMF名願は「違い」の出せるドリブラー 目指す高校日本一の先に見る夢「W杯で優勝」
2022年10月07日 16:38
サッカー
「自分がどんなプレーでも対応できるようにボールを置くことには気をつけています。こちらが思った通りの展開になるとは限らないし、相手を見てドリブルすることは心掛けています。あと、ボールを持った時に自分の顔が上がっていたら、(相手も)パスを出されるんじゃないか、と警戒して、足も止まってくると思うので、そこは意識してます。ドリブルは昔から好きだったんですけど、高校へ入学してサイドでボールを受ける機会が多くなって、そういうことを自然と考えるようになりました」
ドリブラーの同義語が突貫小僧だった時代は、とっくに過ぎている。名願は、ドリブルの後にも、「違い」を出せるプレーヤーだ。
「遠くが結構見えているので、スルーパスとか、サイドチェンジも得意にしています。何か一つだけではなく、このプレーもできるし、あのプレーもできるって感じで、見てもらえたらいいかな、と。正直、テクニック面は中学校時代と変わってないかな、と思う反面、メンタル的には自信がついたな、と思います。高2の夏にG大阪ユースと試合をした時、相手のプレッシャーが速くて、パスを出せなくなった時に、ドリブルで何度も局面を打開できて、そこから自分のドリブルに自信が持てた」
同じくドリブルを得意とし、日本代表定着、海外移籍を実現した三笘薫(ブライトン)の「二世」と期待する声も多い。
「正直、全然意識してないんですけど、三笘選手くらいドリブルで(守備を)はがせたらチャンスを一杯作れると思うし、尊敬もしてます。でも、自分の中では、真似というか、二世というのは…(違うかな)」
目指すのは唯一無二のプレースタイル。一つの挫折が、ターニングポイントとして存在した。G大阪ジュニアユース時代に全国制覇を経験しながら、ユースに上がれず、履正社高へ進学。少し間を置いて、当時の心境を思い起こした。
「ユースに上がれない、と言われた時、確かに悔しかったんですけど、そこから吹っ切れた感じでノビノビプレーするようになって、自分も伸びたかな、と思います」
高校サッカー界の名将、平野直樹監督の指導もあって、潜在能力が開花。来季はJリーグの強豪、川崎Fのユニホームに袖を通す。
「小学校の時から川崎フロンターレというチームが好きだったし、観ていて面白いサッカーをするので、“自分もここでやりたいな”、と思っていたら、声を掛けていただいて。最近のJリーグでも一番強いチームだし、強いチームに入れば、自分も成長できると思い、決めました」
プロの生活に思いをはせながら、その先に、輪郭のハッキリした未来予想図も描いている。
「夢は日本代表になってW杯で優勝することです。日本に足りないのは、ゴールをしっかり決めるというところ。海外の選手が簡単に決めるところを日本の選手は決め切れていないイメージなので、フィニッシュにこだわってプレーしたい。目標?23、4歳くらいにはA代表に入りたい。早ければ、早いほど、いいですけど」
高校生活ラストイヤー。初めて参戦するUー18プレミアリーグでトップレベルの厳しさを体感する一方、視線は全国高校選手権の大阪府予選(中央トーナメントは23日開幕)に向く。
「日本一という目標しか見ていないし、全国大会に出るのは当たり前というか、そこしか考えていない。大阪府予選は圧倒的な強さで勝っていければ…。チームとしては、味方同士のコミュニケーションだったり、細かいところの質を改善できれば、日本一も取れる、と思っています」
イケメンも注目のスター予備軍。日本一の称号をつかみ、世界へ通じる大空にはばたく。
◇名願 斗哉(みょうがん・とうや) 2004年6月29日、大阪府堺市出身の18歳。中3の時、G大阪ジュニアユースで全日本Uー15選手権優勝。チームメイトに南野遥海(G大阪ユース、来季トップ昇格)、高橋隆大(静岡学園高、来季G大阪)がいた。履正社高に進み、昨年の全国高校選手権大阪府予選では、決勝で阪南大高に敗退。今季はUー18プレミアリーグWESTでプレー(7日現在で12チーム中8位)している。今年8月、SBS杯に出場するUー18日本代表にも選出された。1メートル78、63キロ。利き足は右。