【レジェンズ・アイ】中村俊輔氏準決勝占う エムバぺら個で打開できるフランス 戦う集団の堅守モロッコ

2022年12月14日 05:05

サッカー

【レジェンズ・アイ】中村俊輔氏準決勝占う エムバぺら個で打開できるフランス 戦う集団の堅守モロッコ
フランスのエムバペ(AP) Photo By AP
 フジテレビSP解説を務める元日本代表MF中村俊輔氏(44)がW杯の魅力を語る本紙の特別企画「レジェンズ・アイ」。第5回は、14日(日本時間15日)に準決勝で激突するフランスとモロッコの強さに迫った。今季限りで現役を引退した天才レフティーは、ともに大会を通じて強みを生かし、完成形に近づいていると分析。前回覇者のFWエムバペの凄さなどにも触れつつ、試合展開を占った。
 「試合を重ね、互いにやることが凄く整理されている。それほどチームは完成されてきている」。俊輔氏は、ここまでのモロッコとフランスの戦いぶりをそう評した。

 では、互いの強みは何か。まず徹底した堅守速攻で強敵を次々に倒し、アフリカ初の4強入りを果たしたモロッコ。

 「ハードワークって簡単に言うけど、チーム全体でハードワークするのはなかなか難しい。右MFのチェルシーの選手(ジエシュ)も、普段はあんなに守備をしないはず。でも割り切って、国のために戦っている。チームが同じ方向を向いて、まさに戦う集団になっている」

 ポルトガルとの準々決勝で、驚異の跳躍力で決勝点を決めたFWネシリら、元々能力の高い選手はいた。その上で、全員が国のために一丸となっていることが、大きな力となっているという。さらに俊輔氏が指摘したのが、スタンドの大応援団の存在だ。

 「自陣でボールを持たれても、4―5―1で守備を固め、日本みたいに我慢強く守って、速攻を仕掛ける。それを続けていると、会場の雰囲気が良くなって、ボールを持たないで試合を支配できる感じになる。ボールを持つ優位性、メンタルもあるけど、なんかモロッコはそれを逆にできている。W杯期間中に、チームの形もグッと上がったと思う」

 一方のフランスはどうか。

 「両サイドにエムバペとデンベレがいて、1トップにジルーがいる。超攻撃的な3人を前に並べられるのは、やっぱり大きい。個で打開できるから。速攻では両サイドで持っていけるし、遅攻でもサイドからのクロスでジルーに合わせられる。あとはみんな代表歴が長いから、複数のホットラインが形成されている」

 圧倒的な個に、長年一緒にプレーすることで築き上げた連係。個で言えば、やはりエムバペは別格だという。

 「自分もフランスとやったとき、アンリを見てそう思った。足が長くて、腰の位置が高い、陸上選手のような体形。初速が速くて、乗ったらもっと速い。さらに最初の1歩が大きいんだけど、馬力が凄い。それで急にストップ、ターンができて、得点能力もあるというのは、本当に恐ろしい」

 モロッコがどうエムバペを抑えるのかも、試合のポイントとなりそうだ。

 「ボクサーで言ったら、ガードしつつ、たまに出すそのカウンターパンチが効いてくる。フランス相手に、それがどこまで通用するのか。逆にフランスが早い段階で1点を決めると、モロッコが前に出ざるを得なくなる。それで0―2になったら、モロッコはバラバラになる可能性もある」

 果たしてどちらが強みを発揮して決勝に駒を進めるのか。俊輔氏も「楽しみ」と期待した。

 ◆中村 俊輔(なかむら・しゅんすけ)1978年(昭53)6月24日生まれ、横浜市出身の44歳。97年に桐光学園から横浜M(当時)入り。02年7月にレジーナ(イタリア)移籍。05年7月に移籍したセルティック(スコットランド)で数々のタイトルを獲得。09年6月にエスパニョール(スペイン)に移籍し、10年2月に横浜復帰。17年から磐田でプレーし、19年7月にJ2横浜FCに加入した。00、13年にJ1でMVP。日本代表は98試合24得点。W杯は06、10年に2度出場した。1メートル78、71キロ。利き足は左。

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