森保監督の“根幹”19年ぶり再版「森保一 自伝ぽいち」 昨年W杯でドーハの悲劇が「ポジティブに」
2023年01月25日 04:30
サッカー
日本代表まで上り詰めながら「小学生の頃から、僕より上手な選手はたくさんいた」と記した現役時代。スポーツコメンテーターで共著の西岡明彦氏も「技術や身体能力の高くない選手でも、最高レベルで戦う事が不可能ではないと証明した」とつづっている。守備的MFとして、前線と守備の間で黒子に徹した姿勢は、監督を務める今も同じ。「その役割こそが僕のサッカーの喜びだった。今は仕事が違うが根幹は同じ」と森保氏は語る。
日本サッカー初のW杯本大会出場に近づいた1993年のアジア予選も丁寧に描かれる中で「ドーハの悲劇」と呼ばれ、アディショナルタイムに失点したイラク戦だけは、ほとんど記述がない。試合を「まるで思い出せない」。プロのサッカー選手として必ずビデオを見返す習慣があるとしながら「あの試合だけは今でも観(み)ようと思わない」と書いている。30年がたつ今も「いまだに見返したことがない」と明かす。ただ昨年、監督としてドーハの地でドイツに逆転勝ちしたことで「僕にとっても、日本サッカーにとってもポジティブに変換された経験となった」と語った。
監督として再び挑むW杯。「経験は積み重なっていくが考え方や行動原則の根幹は変わらない。時代の変化、状況の変化に対応しながら前進していきたい」と意気込んだ。
≪「楽しむこと忘れずに」 「ビジネス書」の一面も≫「秀でた能力や素質はなかった」としながら、世界の舞台で戦った経験がつづられた同書には「ビジネス書」の一面もある。森保氏は「どんな世界でも自分の武器、特徴を出すのは必要。それがなければ全般的にレベルを上げてオールマイティーになるのも一つの手」と指摘。その上で「組織の1ピースとなることを考えすぎて、充実感ややりがいがなくなっては意味がない。楽しむことを忘れずに」とアドバイスした。