【カズ独占激白(1)】55歳で迎える通算5カ国目のポルトガル移籍へ「これも1つの宿命」
2023年01月26日 05:30
サッカー
「また海外で、サッカーが文化として根付いている国でやれる喜びがある。当然、選手として成功したい思いもある。でも不安の方が大きいよ。もしかしたら1試合も出られず1点も取れない…この半年間でそういうことが起こるかもしれない。たった5カ月間で成功って何?という思いもある。実際、成功というのは後から分かる場合もある。僕は(今後の)状況が分からない中で鈴鹿ポイントゲッターズでの継続も大事だと思っていた。ただポルトガルで選手として戦える、挑戦する機会を与えてもらえるなんてそうはない。今の瞬間しかない。そこに向かうエネルギーがあるのなら行くべきだと思った。これも1つの宿命なんだと」
昨年11月、保有権を持つ横浜FCの親会社がオリベイレンセの経営権を取得したことが発端だった。だがカズ自身、当初は55歳の移籍に懐疑的だった。
「オーナーから『行ってくれますか?』と言われて、最初は冗談かと思った。選手以外で何か手伝えることがあればいつでも言って下さいと返したら『いや、選手としてです』って。ポルトガル人の監督が55歳の選手をいいなんて言うわけがないと思ったし、本当に自分が役に立てますか?って何度も聞いた。本当かな?忖度(そんたく)じゃないの?ってね」
かつて先駆者として94年にイタリア、99年にはクロアチアへ移籍し、欧州への道を切り開いた。時は流れ、当然、見える景色は変わっている。
「当時とは違う感覚だよね。試合に出て成長すること、これは同じ。同時にチームのためにできることをやりたいと思う。僕が行くということは日本のメディアが取り上げてくれることもそうだし、チームにスポンサーがつくことも期待される。それも当然のこと。他の日本人にも移籍して欲しいし、1部昇格も目指したい、その筋道を作れれば」
移籍期間は半年間。昨年12月にはポルトガルに足を運び、練習や施設も視察した。覚悟はかたまった。
「みんな、スピードもあって激しい。あのハイインテンシティーの中で自分がピッチに立てるよう頑張らないと。5カ月なんてあっという間。数カ月後には次も考えないといけない。一番は、チームから残ってくれないか――と言われるようになること。これはブラジル時代から常にそう。そういう人間関係を作りたいし、謙虚にやっていきたい」