福岡がJ参入28年目で悲願の初タイトル 長谷部監督「歴史は変わった」

2023年11月05日 06:00

サッカー

福岡がJ参入28年目で悲願の初タイトル 長谷部監督「歴史は変わった」
<ルヴァン杯決勝 福岡・浦和>記念写真に納まる福岡イレブン(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【ルヴァン杯決勝   福岡2―1浦和 ( 2023年11月4日    国立 )】 決勝が行われ、福岡が浦和に2―1で競り勝って初優勝した。九州勢のタイトル獲得は08年の大分以来2度目で、クラブにとってはJ参入28年目で初の栄冠となった。大会史上最多となる6万1683人の大観衆が詰めかける中で、前半にMF前寛之(28)、DF宮大樹(27)がゴールを奪った。浦和は後半に1点を返したものの、7年ぶり3度目の頂点には届かなかった。
 秋晴れの国立に新しい風が吹いた。念願のシャーレを掲げた福岡の選手は喜びを爆発させた。主役は先制ゴールを挙げMVPを獲得した前だ。「最高です。クラブの歴史でも0から一つステップアップできたと思う」と胸を張った。

 前は水戸時代の18年から長谷部監督の下でプレーし、同じタイミングで福岡にやってきた“申し子”だ。前半5分に右サイドからの鋭いクロスに合わせた。本職はボランチだが、この日はFWの後ろに位置するシャドーのポジションで起用に応えた。「うまく反応できたのかなと思う」とうなずいた。

 福岡は5年周期でJ1に昇格しては、1年ですぐにJ2に転落する「エレベータークラブ」とやゆされてきた。20年に就任した長谷部監督は、人件費が限られ、大型補強が難しい中、「一番自分たちができ得る」戦術として堅守速攻に磨きをかけてきた。初めて臨む決勝では「1%でも勝つ可能性を上げたい」と2日前から東京に宿泊し、入念にミーティング。高さのある相手センターバックへの対策を講じ、先制点同様、2点目も鋭いゴロの左クロスから演出した。

 指揮官が一番大事にしているのは、選手を見ること。これはプロ野球で3度の3冠王に輝いた落合博満氏の著書「采配」を読んでヒントを得た。「自分が決断するのにあたって、目で見て判断するというところを学びました」と明かす。試合ではシュート本数や走行距離など明確に分かるが、練習では簡単に出せない材料なだけに“見る力”は重要だという。先月11日のルヴァン杯準決勝第1戦では、3日前の天皇杯から先発を10人入れ替える大胆なタクトで先勝。FWの山岸が「“予知能力者”だと思う」と評すほどだった。

 重い扉をこじ開けた指揮官は来季の続投が決まっている。「歴史は変わった。上を目指すクラブに前進した」。その口調は、希望に満ちあふれていた。 (杉浦 友樹)

 ▽アビスパ福岡 1982年創部の中央防犯ACM藤枝サッカークラブが前身。95年に福岡へ移転して福岡ブルックスと改称した。翌年Jリーグに入会して現チーム名となった。J1とJ2を行き来し、2013~14年には経営難に。5季ぶりJ1に復帰した21年は過去最高の8位。アビスパはスペイン語で蜂を意味する。本拠地は福岡市のベスト電器スタジアム。

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