小野伸二、笑顔満開の引退試合 有終ベルベットパスに両軍花道 最後まで体現“サッカーを楽しむ”

2023年12月04日 06:00

サッカー

小野伸二、笑顔満開の引退試合 有終ベルベットパスに両軍花道 最後まで体現“サッカーを楽しむ”
<札幌・浦和>前半で交代となり、両軍イレブンがつくった花道を笑顔で歩く小野(撮影・高橋 茂夫) Photo By スポニチ
 【明治安田生命J1最終節   札幌0-2浦和 ( 2023年12月3日    札幌ド )】 明治安田生命J1リーグは各地で9試合が行われ、今季限りで現役を引退する札幌の元日本代表MF小野伸二(44)が26年の現役生活に別れを告げた。今季最多3万1143人を集めた満員の札幌ドームで古巣の浦和を相手にJ1で11年ぶりに先発し、前半22分までプレー。試合は0―2で敗れたが、希代のファンタジスタが受け手に優しく柔らかな代名詞の“ベルベットパス”など、最後まで華麗な技術を披露した。
 札幌の選手・スタッフ全員が背番号44のTシャツを着用する中、小野が試合直後の引退セレモニーに登壇した。「2度在籍したのは浦和と札幌しかない。その中で最終戦でピッチに立てたのは幸せを感じる」。万雷の拍手で迎えられ、両サポーターからチャント(応援歌)の大合唱で送り出された。

 セレモニーでは10月17日に79歳で亡くなった母・栄子さんへもメッセージを送った。「僕を産んでくれて、素晴らしいサッカーというものに出合わせてくれてありがとうございます」。この時だけは言葉を詰まらせ、「10人という子供を育ててくれたことを感謝しているし、今日という日は見せたかった」と思いをはせた。

 J1では清水時代の12年7月以来の先発。44歳2カ月6日でJ1歴代2位の年長記録となったが、プロとして最後の22分間で全盛期をほうふつさせる高い技術を披露した。前半4分には難しいバウンドに合わせて左足で駒井へワンタッチパス。15分には“伝家の宝刀”スルーパスを小柏に通した。最後の見せ場となった19分のFKで精度の高い、柔らかいクロスを供給。何度も満員の会場を沸かせた。

 交代時にはピッチ内で札幌の選手一人一人と抱き合い、最後は浦和の選手も整列し異例の両チームによる花道で送り出された。「日本のサッカー文化でああいう形で見送られるのは僕も見たことがない。僕にとっても幸せな瞬間だった」。誰よりもサッカーを楽しんだ小野らしく、笑顔でピッチを去った。

 試合後の引退会見では激動の26年を「プロ生活をやめることに関して後悔はない。たくさんのケガがありながら、たくさんの方に支えられてここまで来た方が幸せ感は強い」と振り返った。今後は札幌に籍を置きながら、全国や世界を見聞しサッカー界の発展に寄与していく予定。日本が世界に誇る「天才」が第2章へと向かう。

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