盆栽強盗、急増 売却目的で繰り返し犯行か ベトナム国籍の男2人逮捕

2024年04月27日 04:40

社会

盆栽強盗、急増 売却目的で繰り返し犯行か ベトナム国籍の男2人逮捕
日本盆栽協同組合が公式サイトに掲載している盗難情報 Photo By スポニチ
 神奈川県で3月に複数の高級盆栽(計530万円相当)を盗んだとして、愛知県警は26日、窃盗容疑でいずれもベトナム国籍の男2人を逮捕したと発表した。盆栽は東南アジアを中心に海外で人気があり、県警は2人がベトナム人窃盗グループ一員として、売却目的で同様の行為を繰り返していたとみている。
 逮捕されたのは、日本語学校生ホアン・クオック・フイ容疑者(20)=名古屋市中村区=と、とび職ズオン・ヒュー・チエン容疑者(33)=愛知県東郷町。2人の逮捕容疑は他者と共謀し、3月16日正午~17日午後3時、神奈川県内の自営業男性の関係先から黒松5鉢など盆栽計7鉢を盗んだ疑い。

 男性が被害品の一部に位置情報を確認できる紛失防止機器を付けており、海外に輸出されようとしていた過程で、愛知県警が発見した。愛知県内で昨年末から同様の被害が相次ぎ、県警が捜査していた。

 日本盆栽協同組合(東京)によると、世界的な盆栽ブームを受け、盗難が多発しているという。同組合では昨年3月から今年1月までは少なくとも全国で約30件の盗難被害を把握。今年1月以降からは連続窃盗が相次いでおり、担当者は「頻発しすぎて数を計上していませんが、50件は超えるのではないか」と説明。手口は、グーグルマップに掲載されている盆栽園や、展示会に出されたりインターネットで紹介されているような作品が狙われているという。SNSを通じてアジアなど海外で盗品が売られているという。

 同組合では、手口や盗難商品の写真など盗難情報を随時SNSで会員に共有。盗品の写真を公開することで転売をしにくくしたり、防犯カメラや警報器、警備保障会社との契約などを勧めている。

 盆栽は高級なものは数百万円の値がつく。2011年には樹齢300年とされる「天帝の松」が1億円で売却された。愛好家らは数十年も手をかけて丹精込めて育てていくため、同組合では「金額もですが、盗難に遭われた方はショックが大きい。セキュリティーを高めていくしかない」と話した。

 ≪海外富裕層のステータスに≫盆栽は1970年の大阪万博で世界に広まったとされる。近年は国内需要が縮小する一方、海外市場が拡大傾向で、欧州やアジアの富裕層のステータスとなっている。財務省の貿易統計によると2023年の盆栽輸出額は約9億円。植物検疫統計によると輸出本数は2018年が約7万5000本で、2022年が約9万8000本。5年で約3割増加している。輸出先は中国が最も多く、台湾、スペイン、オランダと続いている。国内有数の盆栽の生産地、さいたま市にある盆栽園の集合地域「大宮盆栽村」は外国人観光客にも人気のスポットとなっている。

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