どうなるおにぎり…のり 約2倍に価格高騰 有明海2年連続不作で取引枚数激減

2024年06月10日 05:30

社会

どうなるおにぎり…のり 約2倍に価格高騰 有明海2年連続不作で取引枚数激減
のりの入札枚数と平均単価 Photo By スポニチ
 ご飯のお供として人気が高いのりの価格が約2倍に高騰している。一大産地の九州・有明海で近年、不作が続き取引枚数が激減していることが主な要因。値上げラッシュが相次ぐ中での価格高騰に、のり販売店や、のりを多く扱うおにぎり専門店などからは悲鳴が上がっている。(佐藤 昂気)
 名古屋市にある創業94年の老舗のり店「荒木海苔店」。荒木隆史社長は「価格を変えないよう企業努力はしてきたのですが…それも厳しくなってきた」と近年の高騰を嘆く。今月から看板商品「のり子さん」シリーズなど、一般消費者向けの商品を平均で約2割値上げ。来年度以降も不作が続く可能性もあり「高い状態が続けば、皆さんがのりを食べなくなってしまい“のり離れ”が進んでしまう」と危惧した。

 価格高騰の原因は「全国の生産量の半分近くを占める」という有明海での2年連続の不作。荒木社長は「海水温の上昇や適切な時期に雨が降らなかったことでのりの成長に必要な栄養塩が不足したためだと言われている」と説明した。昨年は値段を少し下げ、内容量を50枚入りから30枚入りに変更するなどして対応。しかし、不作が続き「これだけ高い状態が続くと価格に転嫁せざるを得ない」と苦渋の決断だったとした。

 「全国漁連のり事業推進協議会」のデータによると、2019~21年度に入札で取引されたのりの枚数はいずれも60億枚以上。しかし、約48億枚と約2割減となった22年度に続き、23年度も約49億枚と、低水準で推移している。1枚あたりの平均の値段も、10・48円だった20年度から、23年度は21・14円と倍近くまで高騰した。

 日常生活にも、のり高騰による影響が出ている。寿司店やラーメン店の中には、通常よりのりのサイズを小さくして提供している店も。おにぎり専門店では、のりを巻かない炊き込みご飯の商品展開も始まっている。

 連日多くの客が訪れる人気のおにぎり専門店「お米がおいしいおにぎり戸越屋」の木本英二管理部長によると、のり業者から6月末からの値上げを伝えられた。「米や油、肉などの価格も高騰しており、昨年からすでに2回値上げ。今回は値上げすることなくやっていきたいが、ギリギリの状態」と訴えた。

 このピンチをどう乗り切るか。荒木社長は「できるだけ安くおいしいのりを届けられるよう、コストカットなどの努力をしたい」と力を込めた。

 ≪うめは1.8倍≫天候不順は野菜や果物の価格にも影響している。にんじんの価格が昨年の同時期と比較して約1.7倍、うめが約1.8倍など高騰している。市場関係者によると暖冬や4月の多雨の影響で、野菜や果物の生育不良が起きているという。関係者は「ここまで全体的に高いのは経験したことがない。これから産地が切り替わって安くなることを期待したい」と話している。

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