白井 日本最年少金メダル「結果がついてきたので100点満点」

2013年10月06日 06:00

体操

白井 日本最年少金メダル「結果がついてきたので100点満点」
体操の世界選手権男子種目別決勝の床運動で、演技を終えガッツポーズする白井健三
体操世界選手権第6日
(10月5日 ベルギー・アントワープ)
 “ひねり王子”が体操ニッポンに新たな金字塔を打ち立てた。種目別決勝の男子床運動で、白井健三(17=神奈川・岸根高2年)が16・000点をマークして金メダルを獲得。五輪、世界選手権を通じて日本史上最年少で世界一に輝いた。個人総合で4連覇を達成し、床運動でも連覇が懸かっていた内村航平(24=コナミ)は15・500点で銅メダルを獲得。男子あん馬では亀山耕平(24=徳洲会)が15・833点を出し、03年大会の鹿島丈博以来2人目の世界王者となった。

 世界の頂に向かって、17歳が駆けた。白井の床運動。最後の技は「シライ」だ。勢いよく助走すると、猛烈なスピードでひねりまくった。9月30日の予選で決めた新技「後方伸身宙返り4回ひねり」で演技を締めくくると、大歓声に包まれた。世界大会金メダリストを輩出してきた体操ニッポンで、史上最年少の戴冠。金字塔を打ち立てた“ひねり王子”がガッツポーズで歓喜に浸った。

 「結果がついてきたので100点満点。全然緊張しなかったし、練習から4回ひねりにも余裕があった」

 3歳の時には、もうトランポリンで跳びはねていた。ひねりの技術習得の裏には、父・勝晃さん(54)が器具メーカーに特注した秘密兵器があった。細長いトランポリンのバネ500本を20センチから10センチに付け替え、より床運動のフロアに近い反発力のあるものに変えた。「おそらく日本で最初に開発したのは私。あれで健三の技術が磨かれた」。白井は誰にもひねり方を教わったことがない。「ヒュッとやる。グッとやる。ググッとやる」。天才には理論なんて必要ない。特注トランポリンがあれば、それで十分だった。

 技に名を残した白井だが、自身の名前には両親の特別な思いが込められている。兄が2人いる白井には本当はもう1人、兄か姉がいた。「生まれる前に流産してしまってね…」と勝晃さん。その後に誕生した三男は「健康な子に育ってほしい」と「健三」と名付けられた。勝晃さんは笑って付け加える。「ローマ字で“KENZO”って電光掲示板に出ると、デザイナーの高田賢三さんみたいで格好いいかなと思ってね」。世界の大舞台で、KENZOの名が一番上に表示された。

 17歳の挑戦は、まだ終わらない。「種目別でも世界に通用する日本の体操を見せられた」と胸を張った白井は、6日の跳馬にも出場する。予選で決めた「伸身ユルチェンコ3回ひねり」にも自身の名が残り、同技に成功した金(キム)熙(ヒ)勲(フン)(韓国、予選落ち)と合わせ「シライ/キムヒフン」と連名に。予選は6位だったが、きっちり決めれば2冠のチャンスは十分にある。16年リオデジャネイロ、20年東京五輪を前に大きく花開いた天賦の才。今の白井なら、どんな夢も実現可能だ。

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