カーママ 母は強かった!土壇場大量6点、逆転ラスト切符

2013年12月17日 05:30

カーリング

カーママ 母は強かった!土壇場大量6点、逆転ラスト切符
応援団と喜びを爆発させる(左から)吉田、船山、小笠原、小野寺、苫米地 Photo By スポニチ
カーリング ソチ五輪世界最終予選最終日プレーオフ第2戦 日本10―4ノルウェー
(12月15日 ドイツ・フュッセン)
 ママでも五輪に出る!!カーリング日本女子代表の北海道銀行が最後の枠を懸けたプレーオフ第2戦でノルウェーに10―4と快勝し日本女子として5大会連続の五輪出場を決めた。3―4の第8エンドにノルウェーのミスが重なる中、大量6点を挙げて勝利を決定付けた。結婚、出産を経て10年に現役復帰した小笠原(旧姓小野寺)歩(35)と船山(旧姓林)弓枝(35)は02年ソルトレークシティー大会、06年トリノ大会に続いて2大会ぶり3度目の出場を決めた。

 大粒の涙がこぼれた。9―4で迎えた第9エンド、ノルウェーが最終ショットをミスして日本に1点が加わると、相手選手から次々に握手を求められた。ギブアップの合図に小笠原は「頭が真っ白になって。信じられなかった」と振り返った。

 試合を決めたのは1点を追った第8エンド。日本は最初にストーンを投じるリード苫米地の、1投目から丁寧なショットでハウス内にストーンをためると相手に重圧をかけた。ノルウェーはストーンがハウスに届かない場面や、日本のストーンをはじき出せないなどミスを連発。日本はサードの船山が5投目で相手コースを防ぐようハウス手前に置くなど絶妙なショットを繰り返した。最後はスキップ小笠原がハウス内に残った相手ストーンをはじき出し、カーリングでは珍しい大量6得点。勝利の扉を開いた。

 元祖“カー娘”が“カーママ”となり、3度目の五輪舞台をつかんで未来を切り開いた。結婚、出産を経た小笠原は10年バンクーバー大会をテレビで観戦して現役復帰を決意。北海道銀行の支援が決まった。06年トリノ五輪から小笠原らを指導し、11年から再びタッグを組む日系カナダ人のミキ・コーチは「(18年五輪の)平昌(ピョンチャン)がターゲットだった」と明かしたが、先駆者としての責任感が小笠原の背中を押した。

 「五輪に行けなかったら、ただのカーリング選手。行くのと行かないのでは大きく違う」

 選手生命が長いカーリングは海外では30代、40代でプレーする選手も多く、母となって五輪出場する選手もいる。日本では環境が許さず競技を続けにくいのが現状だが、自らスポンサーを求めたカーママとして道を開くためにも結果を求めた。

 そんな母を4歳の長男が支えた。小笠原は2日の日本出発時にガッツ星人のフィギュアを託され「怪獣をあげるから頑張ってと言われました」と笑う。「いかなる戦いも負けたことのない無敵」を自称しウルトラセブンさえ倒したことがあるという最強“守護神”と最終予選を戦い抜いた。小笠原の父、小野寺俊幸さん(62)は「勝つことへの執着心が強くなった」と明かす。選手として、そして母として、強くなって戻ってきた。

 4歳の長女がいる船山も「子供の力を借りながらプレーした」と母の強さを強調。「結成から短い時間で結果を出せてうれしい。再挑戦して本当に良かった」と笑った。

 「今大会で勝つことしか考えていなかったから、いつ五輪が始まるかも知らない。子供を誰に預けるか考えないと」と小笠原。今度は初のメダルを目指し、カーママの挑戦は続く。

 ≪今大会最高≫6点はカーリングでもめったにない大量得点。今大会女子では日本が唯一記録。5点もチェコがイタリア戦、中国が日本戦で記録した2つのみ。4点でも日本がチェコ戦で記録したのみだった。女子は2点や3点を重ねていく試合が多い。

 ▼小笠原歩(35歳)<スキップ> 旧姓・小野寺。元カー娘。02、06年五輪出場。

 ▼苫米地美智子(33歳)<リード> 支えてくれた人たちにいい報告ができることがうれしい。

 ▼小野寺佳歩(22歳)<セカンド> 本当にうれしい。見ている人を興奮させるショットをびしびし決めて、表彰台にたどり着きたい。

 ▼船山弓枝(35歳)<サード> 旧姓・林。元カー娘。02、06年五輪出場。

 ▼吉田知那美(22歳)<フィフス> 見ていてしびれた。小さな積み重ねがこういう形になるんだなと思った。

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