41歳小崎、妻として母として、高熱が出てもマラソンを続ける理由とは
2017年02月08日 20:31
マラソン
その時点で欠場を選択する道もあった。だが、それは小崎の哲学には反していた。レース前日の早朝練習後、「なんとかなるのかならないのかは分からないが、レースをスライドさせる気にはならない」とスタートラインに立つことを約束。1年前に左足首捻挫でこのレースに出場することができなかった悔しさもあった。ここで簡単に2年連続の欠場を選択すれば、現役を続けている意味がなくなってしまう。物心がつき始めた長男の顔も脳裏にちらついた。「決めたレースを走らないのは、本当の競技者ではない」。胸を張って言い切ったが、その声はがらがらだった。
そして迎えたレース当日。小崎はスタートから先頭集団に必死に食らいつき、その姿は全国ネットのテレビ中継にも流れた。ペースメーカーが急にタイムを上げた10キロ付近からずるずると後退したが「ゴールすることが目標」とレース前に言った通り、大きなブレーキをすることなく最後まで走り切った。優勝した重友がゴールテープを切ってから11分後。2時間35分21秒の21位で終えた42・195キロの旅だった。
小崎は言う。「自分がこの歳まで競技を続けていることでマラソンという競技を深くしたい。競技を続けているからこそ、後輩の選手にも伝えられることがある。過去の話ではなく、今の話を言える人生の方が私は楽しい」。自宅のキッチンに立つことをやめないのはもちろん子供のためでもあるが、自らをパートナーに選んでくれた夫に対する小崎なりのメッセージでもあるのだろう。「私は走ることだけで生きているわけではない。それは家庭に入った女性がキャリアを我慢することと一緒。お母さんとして家族に対してできることをやるのは当たり前。その中でどれだけのことができるか、どうやって対応するのかだと思う」。妻となって10年。母となって6年。旧姓のままレースに出場する日々は続く。(記者コラム・鈴木 悟)
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