東京五輪で一気に増える男女混合種目 素晴らしいことだが課題も多い
2017年06月14日 10:00
五輪
IOCが女性のスポーツ進出に力を入れるのは素晴らしいことだが、課題がないわけではない。五輪の規模はすでに限界に達しており、これ以上種目を増やせば開催できる都市がなくなってしまう危険性がある。たまたま今回は大量のドーピング違反者を出した重量挙げや陸上の参加人数を懲罰的に減らすことで帳尻を合わせたが、いつもそううまくいくとは限らないだろう。
もう一つの課題は、女性のスポーツ進出が盛んなのは先進国など一部の国に限られるということだ。世界にはまだまだ男女同権すら実現していない国がたくさんある。たとえば宗教的な理由で女性の社会進出が進みにくいイスラム圏はどうするのか。宗教や経済事情にかかわらずすべての女性にスポーツ進出の機会が与えられなければ、本当の意味での「男女平等」は実現しない。現状では男女混合種目のメダルは特定の地域や国に集中する可能性が高く、それはそれでバランスを重視するIOCの理念に反し、結果的に五輪から再び削除されるという事態もありうる。
大事なことはIOC自身が強力な指導力を発揮して各国に「男女平等」の理念を推し進めることだ。政治ではなく、スポーツだからこそできることもある。今の状態のままでは、IOCの掲げる「男女平等」は絵に描いた餅になりかねない。 (編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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