GPファイナル4位 30歳コストナーが導く競技の新たなステージ

2017年12月11日 10:30

フィギュアスケート

GPファイナル4位 30歳コストナーが導く競技の新たなステージ
グランプリファイナル女子フリーで華麗な演技を披露するカロリナ・コストナー Photo By スポニチ
 先週行われたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル。女子フリーでは、表彰台こそ逃したものの、ソチ五輪銅メダルのカロリナ・コストナー(30=イタリア)が一回りほど若い10代選手の中で、総合4位と健闘した。
 SP6位(72・82点)から出て、フリーでは1番滑走で今季自己最高の141・83点。連続ジャンプは3回転―2回転の組み合わせと、他の選手と比べて構成は劣るが、高いスケーティング技術や表現面が評価され、演技構成点は全選手中トップの74・96点だった。

 大会前から「30歳で頑張っているのはすごく夢がある。あの年齢になってもスケートへの、試合に出るっていう情熱があるのはすごい」と注目していたのは10年バンクーバー、14年ソチ両五輪のフィギュア女子代表で、プロフィギュアスケーターの鈴木明子さん(32)だ。

 ジュニアの女子フリーでは紀平梨花(15=関大KFSC)が国際スケート連盟(ISU)公認大会で史上初めてトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)―3回転トーループに成功。鈴木さんは高難度のジャンプを難なくやってのけ、競技のレベルを引き上げる若手選手に「やっぱり競技って、そうやってどんどん進化していくもの。ジャンプのレベルがすごく上がっている」と期待を寄せる一方で、今季は有力選手のケガが相次いだこともあり「求められるものが、ものすごく負荷のかかるもの。蓄積されていた(ダメージの)影響が出てしまったというところがある」と技術的な負担の増加には懸念を示した。

 「選手にとっては、いざという時にけがをして出られなかったというのが、一番やってきたことが無駄になってしまう。経験したことが表現につながったり、滑りにも出てくることを考えると、オリンピックに1回出たから終わりではなく、選手生活を長く続けられる方がいい」。息の長い選手に、と後輩たちを案じている。

 現行のルールは、ジャンプの比重が高くなりがちで、難度の高いジャンプを跳ぶ選手に有利。フィギュアスケートのルールはISUにより毎年、少しずつ改正されており、五輪後には大きいルール変更が行われる。「技術に重きが置かれている部分が変わるのかもしれないなと。危機感はあります。ものすごく負担が大きいというのはみんな言っているので」と見直しを求めた。

 そんなジャンプ偏重の中、GPファイナルでのコストナーの演技は選手層の広がりを予感させるものだった。なによりベテランの躍動は若手選手への大きな刺激にも、お手本にもなったはず。4度目の五輪出場を目指すコストナー。30代でのメダル獲得なら、フィギュア女子では94年ぶりの快挙となる。鈴木さんも「18年平昌オリンピックは、若手だけじゃないっていうところがすごくいい」と心待ちにしている。磨き上げた表現と美しい滑りで、競技を新たなステージへと導くベテランの挑戦にも注目だ。(山本 眞央)

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