長野五輪での初採用から20年 スノーボードにおける五輪の価値は?
2018年02月07日 15:30
スノーボード
「なんだかんだで、もう1回出ておけば良かったなというのもある。それだけ五輪というのはデカいことだし、結構スノーボード人生変わると思いますね」
どちらも本心ではあるのだろう。言葉の主は10年バンクーバー五輪ハーフパイプ代表の工藤洸平(27)である。現在は自らのフィルムプロダクションで映像作品をリリースするなど、日本のトッププロとして活躍している。
「スノーボードってカルチャーがあるから(プロ大会の)XゲームやDEWツアーでの活躍が評価される。それでW杯意味ない、五輪なんて、という人が多かったりする。でもプロでやっていく中でコンテストシーンって凄く大切で、五輪でメダルを獲った歩夢(平野)や卓(平岡)なんてスノーボードを変えた人たちだと思う。そこは人それぞれの考え方ですよね」
スノーボードが初めて採用されたのは98年長野五輪だった。ところが当時のシーンをけん引していたスーパースター、テリエ・ハーコンセン(43=ノルウェー)らがボイコット。国際スノーボード連盟(ISF)ではなく、国際スキー連盟(FIS)が管轄することなどに異を唱えた。それが五輪とスノーボードの初期の関係に大きなしこりを残した。
バックカントリーやストリートなど幅広いジャンルの中で、競技会は一分野に過ぎず、五輪はさらにその中の1つである。Xゲームなどと異なり1カ国最大4人のルールがあるため、強豪の米国勢が全員が出られないなど、世界最高峰と言い切れない部分も残っている。
しかし初採用から20年が経ち、時代は変わってきた。ショーン・ホワイト(31=米国)はコンペ、そして五輪に全てを捧げて唯一無二の地位を築き上げたし、平野歩夢(木下グループ)も今は脇目も振らずに競技に没頭している。最近では、最初から五輪での活躍を夢見て板に乗るキッズたちも増えてきた。
一方で工藤と同じくバンクーバー五輪に出場した国母和宏(29)は、アラスカやカナダの急峻を滑り降りる強烈な映像で、16年に米メディアの権威ある年間ベストビデオパート賞を受賞した。「カズは死ぬか生きるかのところでやっている。日本人で初めて受賞者に選ばれて、あれはかなりヤバい」と工藤が感心したように、五輪に出ずともいまだ際立つ業界での存在感を保っている。
工藤は言う。
「(コンテストから離れた)僕らが正しいとも限らないし、それがダサいと思っている人もいるかもしれない。“あいつ大会あきらめてそっちの世界に行っちゃったんでしょっ”て。スノーボードのプロってそのへんは自己満足ですよね」
価値観が多様化し、五輪の功罪も明らかになりつつある現代。サッカー、野球、テニス、ゴルフなど『五輪ファースト』でないのは何もスノーボードに限った話ではない。五輪だけにとらわれないスタンスというのは、意外と今の時代に合っているのかもしれない。
(雨宮 圭吾)
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