ガイドランナー・藤田佑平「安全な道」と「勝負の道」を声で導く司令塔

2018年03月11日 11:00

ノルディック距離

ガイドランナー・藤田佑平「安全な道」と「勝負の道」を声で導く司令塔
安全に最高のパフォーマンスを発揮できるように声で選手を導くガイドランナーの藤田 Photo By スポニチ
 【パラアスリートを支える(2) 】 「ハーイ、ハーイ」。クロスカントリーコースで聞き慣れない声の主は、距離・バイアスロン代表の高村和人(35=盛岡視覚支援学校)を先導するガイドランナー・藤田佑平(25=早大大学院)。その活躍によっては試合の勝敗を大きく左右する重要な“仕事人”だ。

 中学、高校とクロスカントリースキーで全国大会優勝などの実績があった藤田に、ガイドランナーとしての白羽の矢が立ったのは15年の夏。競技引退後は早大大学院でコーチングを研究していた藤田に長浜一年コーチから電話があった。「当時はお金がなくて…二つ返事でOKしました。ニュージーランド合宿で高村さんと会ってそこからガイド生活が始まりました」

 気軽に引き受けたがガイドの難しさに驚いたという。「人のペースに合わせたことも初めて。コースの下が崖というところを滑ったりして怖かったです。責任の重さに疲れ果てました」と振り返る。

 ガイドランナーは基本的に声で指示を出す。腰にスピーカーを付け、「30メートル先、右に曲がります」「平らが続きます」「いまコースの真ん中にいます」など状況が頭に描けるように細かな部分も漏らさない。「ナビだけじゃなく、コース状況も教える。司令塔みたいな感じですね」。コースの下見も「本人の気持ちが分からない」とあえて目隠しをする徹底ぶりだ。

 在学中の早大大学院スポーツ科学研究科を休学してまで平昌に懸ける藤田は「目標は高村さんを安全にかつ最高のパフォーマンスを発揮させるガイドをしたいし、ガイドランナーというものを発信できる格好いいガイドをしたい」。その目標を実現させるためにも、高村とともにメダルを掛ける瞬間を夢見ている。

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