ブドウ踏み3時間…栃ノ心 家業の手伝いと多様な格闘技で鍛えた怪力

2018年05月29日 11:00

相撲

ブドウ踏み3時間…栃ノ心 家業の手伝いと多様な格闘技で鍛えた怪力
笑顔で報道陣の質問に答える栃ノ心(撮影・島崎忠彦) Photo By スポニチ
 【ジョージア出身初 遅咲き大関・栃ノ心(上) 】 阿武松審判部長が「四つ身で白鵬を倒せる力士は他にいないのではないか」とうなる栃ノ心の力強さ。その素地は母国ジョージアで培われた。下半身は家業の手伝いで、腕力は格闘技で鍛えられた。
 栃ノ心は首都トビリシから北西に約20キロ離れた自然豊かなムツヘタで生まれた。別名、ジョージア相撲とも言われる伝統的格闘技「チタオバ」が盛んな土地柄。04年アテネ五輪の柔道90キロ級で泉浩を破って金メダルを獲得したズラブ・ズビャダウリも、チタオバの大会に出場していたという。袖のない専用着を互いにつかみ、背中が地面に着いた方が負けとなる。

 後の栃ノ心、レバニ少年は強かった。理由があった。父のザザさんはワイン醸造を営み、ブドウ農園もあった。収穫作業が重労働。ブドウを足で踏む搾汁作業は、さらに過酷だった。「足がパンパンになった。3時間、踏み続ける。いいトレーニングになった」

 強じんな足腰で、大会に出ては好成績を収めた。優勝者には生きた羊などが与えられ、栃ノ心も計8頭もらった。「持ち帰ってさばいて食べた」。こうして格闘技の面白さを知り、他競技でも頭角を現した。

 柔道では欧州ジュニア王者に輝き、サンボでも23歳以下の欧州選手権で優勝。特に柔道は井上康生に憧れ、のめりこんだ。「トレーニングが好きだった。ロープ昇りはきつかったけどね」。引きつける上半身のパワーが、身についていった。

 そして、力士がほとんどいなかったジョージアで04年世界ジュニア相撲選手権の代表に選ばれた。ジョージア出身で初の関取、黒海が活躍中で相撲の存在は知っていたが、まわしを締めたのは、このときが初めて。16歳だった。(特別取材班)

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