モンスト 台湾で海外初の大会、日本アニメ・漫画文化と親和性
2018年05月31日 05:30
スポーツ
初夏の到来を感じさせる太陽と青空の台北市。日本統治時代の酒工場を改装した赤レンガ建築のイベントスペースに、極彩色のスポットライトと台湾のモンストファン200人の大歓声が沸き立った。50チーム200人以上が参加した予選を勝ち抜き、台北市、高雄市から4チームが進出した決勝大会。激戦はユーチューブでもライブ配信され、決勝を制した「夏夕夏景(シャー・シャー・シャー・ジン)」の4人が賞金10万台湾ドル(約36万円)を手にすると、会場にはこの日最大の拍手の嵐が鳴り響いた。
モンスターストライク。現在、全世界で4500万人以上の利用者を誇る日本発のスマホゲームが、最も熱い海外ファンを獲得しているのが台湾だ。中国語のタイトル「怪物弾珠」として台湾・香港・マカオで遊ばれており、利用者数は3地域で650万人まで膨らんでいる。中国、韓国、欧米などの人気タイトルが群雄割拠する台湾のゲーム市場で、文字通り”怪物”級の躍進を続けているのはなぜか。今大会を統括したミクシィの国際戦略ディレクター・黄世元氏はその理由をこう分析する。
「台湾で多くの支持をいただいているのは、台湾に日本のアニメが深く浸透していること、さらにゲーム自体の楽しみ方もモンストの理念に近い部分があるからだと思います」
(1)日本のアニメ・漫画文化との親和性
台湾では若者を中心に、日本のアニメや漫画が日常的に親しまれている。モンストには3000体以上の使用キャラクターがあり、デザインは日本のアニメ・漫画のテイストをベースとしている。「鋼の錬金術師」「エヴァンゲリオン」「ハンター×ハンター」など著名作品とのコラボも人気企画となっていて、台湾のポップカルチャーに親和性が高い。日本語が他の外国語に比べて浸透しているのも大きなアドバンテージで、大幅な「現地化」の変更なく“日本文化も楽しめるゲーム”として受け入れられている。
(2)ゲームをコミュニケーションツールとして活用する楽しみ方
台湾では、ゲームは1人でプレーするよりも、仲間たちと顔を突き合わせてワイワイと楽しむ文化があるという。電車やバスの待ち合わせ、カフェなどでスマホをにらみながら輪をつくるグループも、街の中でよく見かける光景だ。
モンストも「友だちと一緒に盛り上がるためのコミュニケーションツール」というコンセプトを最重要視している。4人1チームで戦うeスポーツも対戦相手への攻撃ではなく、クリアまでの時間を競うタイムアタックを勝敗ルールに設定。リレーや駅伝のように「仲間とバトンをつないで絆を深める」感覚が、台湾でのゲームの楽しみ方にピッタリはまっているようだ。来場してeスポーツを初観戦した男性(26)は「テンションも上がってとても素晴らしいイベントでした。自分ももっとモンストをうまくなりたいと思います」と声を弾ませていた。
今大会で優勝した夏夕夏景は7月1日、「XFLAG PARK2018」(幕張メッセ)で行われるエキシビションマッチで日本・香港と三つどもえ戦に挑む。モンストでは初めてとなるeスポーツの海外展開は、新しい交流の始まりを予感させる。(続く)
▽モンスターストライク 2013年から展開するスマホアプリゲーム。プレーヤーは4体のキャラクターを扱って、敵軍団の撃破を目指す。各キャラクターは、スマホ画面上で指を使って弓矢のように引っ張って撃つ感覚で操作。スマホ画面四辺での反射、キャラクター同士のぶつかり合いなど、ビリヤードのような戦略性を要求される。競技大会は4人で構成するチームによる対戦。敵が出現するフィールドをリレー形式でクリアして、両チームがタイムアタックを競う。
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